宇佐見会

同人サークル「宇佐見会」はカードゲームの製作を中心に、グッズ製作や各種イベントの企画を行っている団体です。
ご不明な点がございましたら、こちらまでお気軽にメールくださいませ。
製作/企画:対戦カードゲーム「幻想萃符伝」 | ゲーム交流会「上方東方祭」
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第三弾「随喜信仰」本日発売

ぎりぎりまでプレビュー記事を書いていましたが間に合いませんでした、WindFallです。
プレビューというのは発売前に紹介するからプレビューなのであって、発売後になってはただのビューになってしまいます。
というわけで、雛さん、にとり、こーりんのカードデータを知りたい方は製品版をお買い求めください。ごめんなさい!

さて、第三弾「随喜信仰」、いよいよ本日発売です。
私もこの文章を書き終わったら現地に向かい、売り子をしようと思います。
では、行ってきます。

P.S. 書きあがりかけのプレビュー、もし見たいという奇特な方がおられましたら、この記事のコメントででも「見たい」と言ってください。希望数が多ければ、「発売後にプレビュー」という奇妙な光景を繰り広げる覚悟です。

第三弾「随喜信仰」プレビュー part7

おはこんばんちわなら、Yifeです。私が担当するプレビューもこれで最後になります。いつもどおり無茶なスケジュールだ……これから東京へ向かうというのに

いままでのプレビューは、話の流れを作るためになにがしかの前振りを置いて書き始めていたんですけれど、とある方から
「御託はいいからさっさとカードを見せろ」
という意見をいただきましたので、それに従おうと思います。確かに、本来はカードを紹介する記事なんですから、シンプルな記事でも問題ないですよね?

とはいえ、なにかテーマがないと書きづらいのも事実。というわけで、「実戦で重宝されそうなカード」という側面からプレビューしていくことにしましょう。
それじゃあ、まずは1枚目。

蓬莱の人の形、藤原妹紅

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なるほど、死んでも死んでも蘇ってくる、正直誰でも思いつくオーソドックスなイメージの不死鳥能力を持った妹紅さん。死んでも復活できる代わり、復活するたびにプレイヤーに5点の代償を迫ります。
これはちょっと痛い。というか半端なく痛い。なにも考えずにデッキに突っ込むと、タフネス1が災いしてどんどんあなたのライフを削っていくでしょう。えっ、5マナダブルシンボルでこの制限はきつくね……?
もしそうお考えの場合は、彼女との付き合い方を間違えています。もう一度、能力を読みなおしてみてください。「ターン終了時、0が墓地にある場合、ライフ5点を失って0を場に戻す」。お気づきですか?この能力は、単に墓地に置かれているだけで発動します。なら、直接墓地に送ってやれば、たった5点のライフだけで登場してくれます。マナ不要!
となってくると、いかに彼女をすばやく出すかが肝要です。相手の体制が整わないうちに殴りきってしまえば、低いタフネスも問題ではありません。でもどうやって墓地に落としましょう?
ここで、最後の「サイクリング」が活きてきます。「サイクリング」とは、指定されたコストを支払うと、そのカードを捨てて新しいカードを引ける、というもの。普通はいらないカードを捨てるために使うのですが、妹紅さんは逆。捨てることに意味があるのですから。
こうなれば、3マナ揃えた時点から攻撃体制が整います。3マナといえば、緑なら2ターン目には到達できるマナ量。3ターン目からパワー5が殴ってくるのは、悪夢以外のなにものでもありません。
え?3ターン目からじゃ遅い?ふーむ、じゃあ、これとか使ってみてはいかが?



えっと、次はなにがいいかな……。妹紅さんも全部紹介したいカードばかりでちょっと悩みますが、これを。

「パゼストバイフェニックス」

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ふむ、これは赤ウィニー終了のお知らせかもしれんですね。魔理沙とか飛んでないし、被覆持っちゃうので直接火力で殺せないし。おまけに赤はエンチャントに触れないので、赤単でこれを出されてしまうとなるほどチェックメイト。頑張って文ちゃんとかで粘ってみてもいいですけど。
とどめに宣言能力。たかだか1点火力ですが、サーヴァントフライヤー等を倒すには充分です。《寒け》に続いてこれが出てくるとは……火力つっこんでりゃ勝てる時代は終わったのかも。


ところで、萃符伝ってライフルーズが少ないと思いません?(ダメージは数多いんですが)
少ない理由はいくつかあるんですが、理由の1つに"イメージに合わないから"ってのがありました。どういう理由で対戦相手のライフが減少するのか、上手く説明できなかったわけです。

藤原妹紅

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そこでトラウマメーカーさんのお出ましです。トラウマといってもライブラリーを半分削るわけではなく、相手の肝っ玉を縮み上がらせるのが役割。どういう風に縮み上がらせるかというと、
・墓地から場にパーマネントが出てくるたび、黒マナシンボルの数だけライフルーズ。
妹紅さん自身は黒マナシンボル3つ。
・頑強を持ってるので、「適当に殴る→殺される→帰ってくる→なぜか相手は3点ライフルーズ」という勝利の方程式内蔵。
・あれ、《ライフゲーム》超強くね?
これはトラウマになっても仕方ない。私もビビる。そりゃライフも失うよね。


さて、このままだと妹紅さんの独擅場になってしまうのでそろそろ別の人も見てみましょうか。


知識と歴史の半獣、上白沢慧音上白沢慧音

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3面ボスとEXボス。どちらにも共通するのが、"突然乱入してきて相手を邪魔すること"。

3面ボスの慧音は、人間が悪しき奴らの手にかかりそうになれば、2マナで飛んできて1マナで防いでくれます。リーズナブルでスピーディーかつ効果的。すばらしい。
さらにすばらしいことに2マナ2/2なので、場に出てからも最低限の働きはしてくれるのが嬉しいですね。そりゃあみんなに頼られるわけだ。

EXボスの慧音がやろうとしてることもだいたい同じですが、こっちはより強力。呪文から防ぐのではなく、呪文そのものをねじ曲げて、あらぬ方向に飛ばしてくれます。X=20で発射された《マスタースパーク》を対戦相手に向け直す、とか。最高。
けど7マナはちょっと重い、払えそうにない……というあなたにも、3マナ払えば能力だけは使用させてくれます。というかむしろ、4マナ余計に払うと5/4トランプルのクリーチャーが付いてくると考える方が正しいかも。なんというコストパフォーマンスの良さ!


産霊「ファーストピラミッド」

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慧音のスペルでこれを紹介しなかったら他にナニを紹介するんだ!と言っても過言ではないカード。白のクリーチャーは無条件で+1/+1。おまけに《ケロちゃん》と違って伝説だったりしないので、何枚でも重ねがけが可能。マーベラス。
対戦相手にも修正がついちゃうのが難点ですが、宣言後なら自分のクリーチャーだけをパワーアップさせることが可能。この場合は白以外のクリーチャーも全部まとめてパワーアップされます。
なるほど、つまり
「相打ちになる予定のクリーチャー同士で戦闘に入る→瞬速で慧音先生を呼んでくる→相手への修正が切れたので戦闘に勝利」
というコンバットトリックが可能なわけですね。インスタントの強化呪文などと違って、使ったカードは場に残るのが実に素晴らしい。


ところで、《ファーストピラミッド》が素晴らしいのは分かったとしても、そもそも強化するクリーチャーがいなければ話になりませんよね。白の優秀なクリーチャーといえば《博麗霊夢》《魂魄妖夢》《マエリベリー・ハーン》《魂糸の戦人形》あたりが思い浮かべられるわけですが、さて3弾に登場する白の優秀なクリーチャーは?

祀られる風の人間、東風谷早苗

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お待たせしました。以前のプレビューでは変形枠のために掲載を見送ってごめんなさいね。
白い早苗さんは3マナ2/2。キャラクターにしてはちょっと小さめのスペックですが、その分強力な能力が3つも付いています。
どんな能力かというと、
・タップ:タッパー
・2マナ:自身に選んだ色へのプロテクション
・3マナ:ライフ回復
どれをとっても「弱いわけがない」という能力ですね。《ファーストピラミッド》と組み合わせれば、

新しい信仰を見つけたい人にお勧めの早苗さん
・3マナ3/3は当たり前、3マナ6/6のことも
・7/7の《萃香》なら大丈夫だろうと思っていたらきっちりプロテクションされた
・「そんな強いわけがない」といって出て行った《魔理沙(赤)》が次のターン一方的に倒されていた
・体がほんわか温まったのでよく見てみると余ったマナでライフを回復させてくれていた
・「飛行やシャドーを持っていれば襲われるわけがない」と出て行った妖怪がしっかりタップさせられていた

なんという鎮圧力。早苗さんすごすぎじゃね……?


秘術「グレイソーマタージ」

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うん、やっぱ早苗さんすごいです。《ファーストピラミッド》と組み合わせると、最大5/5が毎ターン出てくるってことに。それも、追加コストなしで。
宣言後は……なるほど、グレイソーマタージ(いにしえの魔術)って《Time Walk》のことだったのか!10年近く前だから確かにいにしえだけど!(笑)
まあ魔法陣を生け贄に捧げちゃうと、肝心のアタッカーがいなくなるから、せっかくの追加ターンに殴る戦力が減っちゃうとかいうデメリットはあるけれど、追加ターンはそれでも魅力的。時は金なり:あなたの知恵を使って、有効活用してみては?


というわけでみなさん会場でお会いしましょう!よいお年を!

第三弾「随喜信仰」プレビュー part6

比那名居天子

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唐突にカード画像から始めてみました。こんばんは、WindFallです。
前回のYifeさんの記事でも紹介されていましたが、ホワイトキャンパスさんの方で第三弾の特集ページが組まれています。そこで、プレビュー用に取っておこうと思ったカードが紹介されてしまった訳で……本日は、そのカードをこちらでも紹介することから始めようと思います。


○比那名居天子
前回の萃香に続き、やってきました枠ぶち抜きイラスト。カード全面に天子の雄姿が凛々しいです。
といってもそのサイズは、5マナ4/4と赤にしては標準かやや弱め。では、イラストとの兼ね合いでコンパクトにまとまってしまうはずの能力はというと、これが文章欄サイズの制約を感じさせない強力な物となっています。
なんと、2マナ払うだけで《地震》をX=2でプレイしたのと同じだけの効果を得る事ができるのです。天子自身のタフネスは4ありますから、タフネス2以下の軽量地上クリーチャーはほぼ完全に制圧することができてしまいます。しかも何度でも(タップも必要とせずに!)プレイできますから、その気になれば……彼女自身も墓地送りになる事を覚悟すれば、どんなに大きい地上クリーチャーでも破壊することが出来るでしょう(もちろん、相応のマナは必要になりますが)
さらに、この能力はプレイヤーにもダメージが入ります。何度も能力を起動すれば相手のライフは一気に削れていきますから、後は赤お得意の火力で一気に止めを刺してしまいましょう。もちろん、順番を逆にしてこのカードで止めを刺してもかまいません。ただし、自分のライフの減少には気をつけて。
能力が一つしかないのに非常に胡散臭い……もとい、優秀な働きを見せる彼女。あなたが相手を殲滅する助けになってくれる事は間違いありません。


というわけで、今回のプレビューは比那名居天子を中心にお送りしま……なんでしょう。皆さんの目が心なしか冷たいような。
ああなるほど。これまでのプレビューはキャラクター二人をペアにして紹介してきましたから、もう一人がいないとは何事だ、ということですね。
分かりました。それでは、皆さんの熱い声援にお答えしてもう一人のキャラクターを紹介しましょう。


永江衣玖

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総領娘様とのペアといえばこの人。竜宮の使い、永江衣玖さんです。早速紹介していきましょう。


●永江衣玖
7マナ6/6飛行。いかにも重量級な竜宮の使いらしい性能です。え、むしろ「宮の使い」を抜いた方の性能に近い? そうかもしれませんね。
さらにそれに加え、吸収1……耳慣れない能力ですが、ダメージを受けるたび1点自動で軽減する非常に強力な能力です……と、二つの能力を持っています。
一つは、攻撃クリーチャー対象のダメージ能力。軽量クリーチャー相手ならばこれだけで封殺できてしまいます。マナはかかりますがタップは不要なので、防御はこの能力に任せて本人は悠々と攻撃する、なんていうのもいいかもしれません。
もう一つは、なんとターン終了時に衣玖さん以外の飛行クリーチャーへの《インフェルノ》。空に巻き起こる未曾有の大災害からは、衣玖さんの警告むなしく誰も逃れられないのです。ターン終了時にという制約があるため使ったそのターンに無人の空へ攻撃する事こそできませんが、次のターン以降の制空権は完全に彼女の物となるでしょう。
天子さんとは対照的にいくつもの強力な能力を持つ衣玖さん。あなたは使いこなす事ができるでしょうか。


改めまして、今回のプレビューでは比那名居天子と永江衣玖さんを中心にお送りします。
さて、先ほど紹介したカードではどちらも非常に派手な能力を振るい、戦場を支配してしまえるほどの力を持つ二人。しかしその分コストが重く、全体に大味になってしまっているのは否めません。
それだけが彼女たちのイメージでしょうか? いいえ。むしろ、軽量で小回りの効く能力の方がイメージに合う、という人も多いでしょう。
そこで、例によって二人には別バージョンのキャラクターカードを用意してあります。そちらはどのような能力なのでしょう? 早速見てみましょう。さあ、どうぞ。


非想非非想天の娘、比那名居天子美しき緋の衣、永江衣玖

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重量級のもう一枚とは一気に印象が変わった事と思います。それでは、それぞれのカードを紹介していきましょう。


□天子(赤白)
まずはお詫びを。カードテキストから「キャラクター(比那名居天子)」が欠落しています。良い子の地上人の皆さんは脳内で補っておいてください。発売後、エラッタを発効する予定です。
さて、それを補った上でカードを見てみると、多色2マナ2/2とサイズは標準的です。キャラクター能力持ちである事を考えればむしろ弱いとさえいえるでしょう。無論、そこは能力で補っているわけです。
能力は二つ。まずは、2マナで飛行を得る事ができます。それも、永続的に。ターン終了時までではありません。さすが天人と言うべきでしょうか。
しかし、なぜ最初から飛行を持たず、わざわざ能力で飛行を得るのでしょう? その答えは、もう一つの能力にあります。その能力は彼女が飛行している時しか効果が無く、しかも使用すると飛行を(永続的に)失ってしまうのです。要石に乗って浮かび上がり、相手の目の前に飛び降りるイメージですね。まさに天子らしい感じです。
ではその肝心の能力はというと、なんと単体対象の《謙虚》《騒乱への突入》。喰らったクリーチャーはたいていの場合、次のターンブロックされて破壊されてしまうでしょう。間接的なクリーチャー破壊というわけです。きっと、我を失って能力を失うほど強烈な挑発をしているのでしょう。汚いですね。さすが天人。
いかにも彼女らしいこのカード。敵に回せばいやらしいですが、味方にすれば心強い事でしょう。


■衣玖(白)
3マナ2/3とサイズは並。しかし、瞬速を持っているので相手ターンのエンド時等に隙を作ることなく出現する事ができます。
さらに、助言を与える事で味方クリーチャーを瞬速タイミングでプレイすることが出来るようになります。《軍隊の長槍持ち》あたりを瞬速でプレイすると、相手のクリーチャーを奇襲的にブロック、破壊する事が出来てお得でしょう。
どちらかというと、コンボ的な使い方を考えた方がいいかもしれません。例えば、相手のターンエンドに白い衣玖さん→赤白の衣玖さんと連続でプレイすると、赤白の衣玖さんを瞬速タイミングで場に出す事が出来ます。……トータル10マナもかかってしまう上に、白い方の衣玖さんは(キャラクター能力の効果で)墓地に行ってしまうので、あまりいい例ではないかもしれませんが。まあ、こういう使い方も出来ますよ、という事です。
直裁的に「強い」訳ではない彼女。しかし、そのいぶし銀な能力を使いこなしてこそ、一流のプレイヤーと言えるのではないでしょうか。


さて、ここまで二人のキャラクターカードを紹介してきました。では、次回のプレビューをお楽しみに。





……ああ、分かってます。分かってますよ。そんなに詰め寄らないでください。スペルカードですね。
いえ、別に出し惜しみした訳ではないんです。ただ、今回のスペルカードはどれも特徴的な効果を持っているものですからどれを紹介するか迷ってしまいまして。迷った挙句、今回はこんなカードを選んでみました。


雷符「神鳴り様の住処」:「全人類の緋想天」

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……ほら、特徴的でしょう?
では、紹介に入りましょう。


△雷符「神鳴り様の住処」
誤植ではありません。3回同じようなテキストが重なっているのが、このスペルカードの正しい効果です。テキストの見た目のインパクトでは第3弾の中でも随一でしょう。
効果を冷静に確かめると、なかなか強い事が分かります。ダメージ効率は《恋符「マスタースパーク」》をX=7で撃った時と同様。こちらは軽減されてしまいますが、代わりに数体のクリーチャー(とプレイヤー)に割り振って与える事ができます。うまくいけば1対3交換も夢ではないでしょう。プレイするために必要なマナさえ確保できれば、なかなか優秀な除去呪文となるはずです。
宣言モードに入ると、待機でプレイする事が可能になります。待機コストはなんと4マナ。半額セール! 2ターンプレイが遅くなるとはいえ、これなら比較的手軽にプレイする事が出来るでしょう。
さらに、待機からプレイされると萎縮……ダメージを、通常の方法の代わりに-1/-1カウンターで表すようにする能力……を持つようになり、嫌らしさはさらに上昇します。たとえ破壊する事が出来ないダメージでも、以降の戦闘にマイナス修整が効いてくる……これほど嫌な事はありません。
重さこそ少々気になる物の、なかなか優秀なこのカード。あなたは使いますか?


▽「全人類の緋想天」
「破壊されない」「カウンターが100個以上」 ……なにやらとんでもない事が書いてある気がします。ゆっくり読んでいきましょう。
まずは、カード自体の除去耐性から見ていきましょう。「破壊されない」に加えて「被覆」。大抵の除去呪文の効果はこれで防げてしまいます。例外はせいぜい《竜巻「天孫降臨の道しるべ」》ぐらいでしょうか。それも、1マナという軽さで何とかなってしまう事が多いでしょう。すぐプレイしなおしてしまえばいいのです。
そして能力。要するに、100マナ使って徳を100個集めれば勝利できる、というわけです。……簡単にいいますが、これがなかなか容易な事ではありません。《月&木符「サテライトヒマワリ」》などでマナを大幅に加速し、蓄積する速度をあげないとなかなか達成する事はできないでしょう。徳を集める道は厳しいのです。
しかし、そこで宣言能力。なんということでしょう、宣言があると必要な徳カウンターの量が20個も減少したではありませんか。さらに、アップキープの開始時ではなく即座に勝利する事ができます。まさに、「私なら、近道を知ってるから」という訳ですね。さすが天人。
なかなか面白いデッキが組めそうなこのカード。さあ、あなたも使ってみませんか?


さて、そろそろ終了の時間が近づいてきました。
次回のプレビューの予定は未定です。コミケも近づいてきてしまっていますし、ひょっとしたらこれが最後のプレビューになってしまうかもしれません。そうでないかもしれません。
それでは、また。次回プレビューか、コミケ会場でお会いしましょう。

第三弾「随喜信仰」プレビュー part4

こんばんは、WindFallです。今回は前回のYifeさんの記事から連続での更新となります。
また、更新が遅くなってしまった事、更新者が予定より変更となったことをお詫び申し上げます。

さて、今回のプレビューの前に、例によって小話を。
萃符伝をやっている皆さんは「ゲーム外領域」という領域についてご存知でしょうか。これはマジックの用語の一つで、「ゲームから取り除く」と書かれたカードの効果によってカードが置かれる場所の事です。ゲームから取り除くというだけあって、そのカードは普通、二度とゲームに関係してきません……普通は。
マジックのルールというのは貪欲な物で、何事にも例外を作らずにはいられないもののようです。古くはこんなカードもありましたし、比較的近年に目を移すとこういうサイクルも存在します。ゲーム外領域はもはや、ただの「取り除かれたカード置き場」ではなく、利用される一つの独立した領域なのです。

(え。これらのカードはいわゆる「ゲームから取り除かれたカード」以外のカードも使用できるのが強い、ですって? 確かにそうですが、ここは話の流れとしてスルーしておいてください)

普通に回収するだけのカードの他にも、ゲーム外領域を利用するカードにはさまざまなものが存在します。萃符伝で例を挙げれば、「八雲紫」や「伝統の幻想ブン屋、射命丸文」などがそうですね。これらのカードはゲーム外領域を一時的なカード置き場として使用しています。
さて、このようにさまざまな利用方法が存在する「ゲーム外領域」 それをもっと活用した、面白いカードが作れないでしょうか?
開発陣は考えました。そして、幾枚かのカードをデザイン(そして調整)したのです。

前振りが長くなりました。いよいよプレビューカードの紹介です。今回も、前回私が担当した時と同じく、二枚ずつ紹介していきます。
さあ、どうぞ。

幻弾「幻想視差」(ブラフバラージ)脱兎「フラスターエスケープ」

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今回はキャラクターカードからではなく、スペルカードから紹介を始めさせていただきました。キャラクターカードのような派手さはないですが、いやらしい動きをするカードが揃っています。
さっそく紹介に移りましょう。

○幻弾「幻想視差」(ブラフバラージ)
1マナ3/3飛行という頭のおかしいスペックで見る者の度肝を抜きにかかるこのカード。落ち着いてください、開発陣は正気です。
もちろんそんなコストが普通に実現できるわけもなく、普通にプレイするとそのままゲーム外に出て行ってしまいます。当たり判定の無い弾がそこらじゅうを飛び回っているようなイメージを想像してください。このままでは、ただの無害なカードです。
そこで宣言能力。あなたが鈴仙をコントロールしていれば、このカードはゲーム外から戻ってくる事ができるのです。鈴仙の能力で弾が実体化したのですね。速攻もつくので、実体化して即座に攻撃する事ができます。
このカードをうまく使うには、鈴仙をどれだけ早く場に出す事が出来るかが鍵となります。何しろ、すでに鈴仙が場に出ている状態からならば実質1マナ3/3飛行速攻という悪夢のような性能を誇る事が出来るのですから。普通に鈴仙のカードを使うもよし、「名前騙らせ」でズル?をするもよし。お好きな方法で料理してください。

●脱兎「フラスターエスケープ」
2マナ3/2。赤としてはもちろん、他の色と比べても破格の性能のクリーチャーです。だから開発陣は正気ですってば。
こんなクリーチャーにデメリットがついていないわけが無く、奇妙な能力が付属しています。その能力とは、呪文や相手のブロックに反応してゲーム外に逃げてしまうこと。せっかくそのパワーを活かして攻撃しようとしても、1/1の鬼トークンにブロックされただけで逃げてしまいます……それも、戦闘ダメージを与える前に。うまく使ってやるには、なにか手を考える必要があるでしょう。
そんな彼女(?)ですが、てゐの宣言がつくとちょっと様子が変わってきます。相手にブロックされるたびに小さな火力を飛ばせるようになるのです。小さいといって馬鹿にしてはいけません。彼女(?)がブロックされての戦闘で破壊される事はないため、対処が難しい立派な攻撃手段となります。これを利用する事は、彼女(?)をうまく使うためのひとつの方法といえるでしょう。

いずれも制御の難しい個性派なカードたち。あなたはうまく御せるでしょうか?


さて、スペルカードを紹介してキャラクターを紹介しないというのでは片手落ちですね。早速キャラクターの紹介に入りましょう。今回紹介するのは前出の通り、永遠亭の月のイナバと地上のイナバこと、鈴仙・U・イナバと因幡てゐの二羽です。
この二羽もまた、スペルカードに負けず劣らずいやらしい動きをするのですが……前置きは短く。見れば分かります。

鈴仙・U・イナバ因幡てゐ

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新出のルールはないので、さくっと紹介してしまいましょう。

△鈴仙・U・イナバ
サイズ、マナコスト的には中堅レベルの鈴仙さん。決して弱くはないですが、正面から殴りあうにはやや能力的に不足です。それも当然、彼女の真価は戦闘ではなく能力で発揮されるのですから。
その能力は何度も使える「決めボム」。敵の妨害から味方の救出、再利用まで、幅広く活躍できます。
おや、もう紹介が終わってしまいました。シンプルイズベスト。

▼因幡てゐ
鈴仙とはうってかわって詐欺臭い能力満載のてゐ。3マナ2/2と聞くとサイズこそ普通ですが、この額面どおりに彼女がプレイされる事はまず無いでしょう。なぜなら、彼女は一定の条件下でマナコストなしでプレイできる……いわゆるピッチスペル的能力をその身に秘めているからです。
その条件は、島をコントロールし、手札が他の対戦相手より(複数いる場合はそのすべてより)多いこと。ドローを得意とする青ならば簡単に達成できてしまいそうな条件です。また、瞬速も所持しているため、相手の手札が減った隙を突いて登場することも可能。相手の知恵(手札)が消耗している(少ない)のを見逃さずこっそり出現する姿は、まさに詐欺兎の面目躍如といっていいでしょう。
そして、能力はそれだけではありません。彼女を生け贄に捧げる事で呪文を打ち消す事ができるのです。といっても、相手が1マナ支払えば打消しはキャンセルされてしまいますが。しかし、この能力を持つ彼女が存在しているというだけで相手のテンポはがくんと落ちてしまうでしょう。常に1マナ余裕を持って行動するというのは、実は思っているよりも難しいことなのです。
さて、彼女の真価はその能力を個々に使っていてはわかりません。能力を組み合わせて使う事でその強さは何倍にもなります。……そう。彼女は、実質ピッチスペルのカウンター呪文として機能するのです! タイミングを選ぶとはいえ、その能力の有用さはまさに「詐欺」と言うに相応しいでしょう。

なんだか二人の扱いに差がありますが……さて、あなたは月と地上、どちらのイナバを供にしますか?


さて。もう一度、ゲーム外領域に話を戻しましょう。萃符伝をプレイする時、あなたはこのゲーム外領域が何なのか、考えた事はありますか?
何ってゲームの外じゃないか、とお答えになった方。まあそう言わず、ちょっと想像力を働かせてみてください。
答えは、そう、第2弾のプレビューにも書いてありましたね。博麗大結界の外です。もちろんそれが唯一の正解ではありませんが、すくなくとも萃符伝において正解の一つではあります。
結界の外にこぼれ出た物を拾い集めるのが、第2弾の「マエリベリー・ハーン」の能力でした。今回のプレビューカードを見ても分かるとおり、結界からは今も多くの物が零れ落ちているようです。
それらのうち幾らかは、また結界の中に戻っていきます。しかし、中には、二度と結界の中に帰れないモノもいるのです。
今回のプレビューのラストは、そんな帰れないモノの一つをあらわしたカードを紹介しましょう。

幻想になれなかった空想

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説明が必要ですね。色々と。

まず、あらわしているモノについて。フレーバーテキストを見てピンと来た人もいるかもしれません。このカードは「冴月麟」をあらわしたカードなのです。
冴月麟? と思う人が多いことでしょう。冴月麟とは、東方紅魔郷においてデータ内に名前だけが残されている、謎のキャラクターです。名前のある場所から考えると、霊夢、魔理沙と並ぶ第三のプレイヤーキャラクターになる予定だったものと推定されます。風符と花符を使うらしい(名前の横に付記してあるのです)という事以外は全て不明の、いわば幻のキャラクターなのです。
今回のカードではそれを踏まえて、「幻想になれなかった空想」という名前でカード化しました。幻想郷の中に入る事ができず、ただ空想の中にいる少女。彼女はなにもしません。ただ、自分がそうであったように、一度幻想の外に出たものを二度と幻想に戻さないようにするだけです。

もう一つ。あらわしているモノがどうというよりこっちの方が気になった人が多いかもしれません。そう、このカードは「無色のエンチャント」なのです。まさに掟破りですね。といっても、ルールには「無色のエンチャントは存在しない」というような事は書いてないですから、このカードも何ら問題は無いわけですが……奇しくも、幻想と空想の間の差を強調するこのカードが、本家マジックと萃符伝との間の差をも強調する結果となったようです。とはいっても、今後まったく無色のエンチャントが現れないとは言い切れないあたりが本家マジックの恐ろしさ、なんですけどね。

そして最後に、デザイン。これまで紹介されたカードとは一味違う、ちょっと面白いカード枠になっていると思いませんか? これは今回導入された特殊な枠で、幾枚かのカードに採用されています。どのカードがこの特殊な枠なのか、楽しみにしていてくださいね。

さて、説明は終わり。カードの紹介に入りましょう

◎幻想になれなかった空想
書いてある事はシンプル。ドローと、ゲーム外からのカードの移動の禁止です。
ドローはもちろんおまけですが、2マナの軽量カードで1ドローがついてくるので、デッキ圧縮の役にはたつかもしれません。
そして、ゲーム外からのカードの移動の禁止。さらりと書いてありますが、これによって影響を受けるカードはかなり多いのです。
たとえば前出の「幻弾「幻想視差」(ブラフバラージ)」や「脱兎「フラスターエスケープ」」はその存在意義がほぼ失われますし、その他にも多くのカードが機能不全を起こしてしまいます。
デッキの開いたスロットに何枚か入れておくと、結構いい働きをしてくれるかもしれませんよ。

さて、今回のプレビューはこれで終了です。皆さん、お楽しみいただけたでしょうか?
では、次回の私のプレビューでお会いいたしましょう。
それでは、また。

幻想萃符伝第三弾『随喜信仰』プレビュー第3回:信仰は義務です

こんばんは、市民。
もうすぐ年末ですね。家庭では大掃除、会社なら年末の締め処理、学生さんならそろそろ冬休みでしょうか。とかくこの時期になるとイベントが増えるものですね。
社会行事だけでなく、様々な風俗や宗教行事もあります。神道ならお正月、キリスト教ならクリスマス(今年も中止されました)や感謝祭に過越祭。どの宗教でも新たな年を神様とともに迎えるために準備を行います。みなさんは準備なさっているでしょうか。

準備を怠る者は、おそらく背信者以外にいません。

今回のテーマは信仰なんですが、その前に第2回でwindfallさんが説明したキーワード能力、『信仰』と『神性』を覚えていますか?
ここまでの前振りでお分かりのとおり今回も神様をご紹介させていただくのですが、その前にもう一度確認しておきましょう。
『信仰』は、条件を満たせば、そのカードの上に信仰カウンターを1つ置く能力。
『神性』は、信仰カウンターが載っている限り追加される能力。
信仰を得れば、神性を得る。信仰を失えば、神性を失う。ね、簡単でしょ?

ここで理解していただきたいのは、『信仰』と『神性』は幻想萃符伝だけでなく、現実にもまったく別の現象だということです。
神道において神様とはあくまで「ご利益をくださるありがたい存在」であって、一神教に見られるような全知全能の神でもなければ、ゼウスやアイオーンのように永遠・全能でもありません。いくら強い力を持っていても、信仰が集まらなければ神様として崇められることはないのですね。
前回windfallさんが紹介した神奈子さまも諏訪子さまも間違いなく素晴らしい力を持っていますが、その力を民衆に伝える巫女がいればもっと信仰を集めやすくなることは間違いありません。

東風谷早苗

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巫女は神を奉り、その力を強めます。どのくらい強くなるかというと、黒の神奈子さんが3/3から4/4になるくらいです。だれですか、「たった1しか上がらないのかよ」とか言った人!
たとえば《山坂と湖の権化、八坂神奈子》は元々黒なので黒の破壊(妖回針とか八重霧の渡しとか)では破壊されません。さらにタフネス4というのが絶妙なラインで、赤の火力で焼こうと思うとカードが2枚必要になります。3点なら、《死神の投げ銭》や《ホーミングアミュレット》1枚で沈むのですが……。
かといって八坂様は放置するにはあまりに大きなトラブル。なにせ放っておけばどんどん巨大化して手のつけようが無くなってしまいます。さすが早苗さん見事な仕事っぷり
ここまで見事な仕事っぷりだとむしろ早苗さんを崇めたくなりますね。マナ・コストも手軽ですし、無理にすわかなを呼んでこなくても大抵のトラブルは早苗さんなら……早苗さんならきっとなんとかしてくれる!
というわけで、みんなに頼られていた早苗さん。様々なトラブルを神様の力を借りて解決していったわけですが、当然まわりの人間にはそんなことわかりゃしません。むしろ目の前に奇跡を起こしてくれる早苗さんこそが神様だと言い出す始末。最初は畏れ多いと謙遜していた早苗さんも所詮人の子、褒められればだんだんいい気分になってきます。神の娘もおだてりゃ鼻が伸びるもので、早苗さんは神様として崇め祭られてしまったのでした。
というわけで、彼女のサブタイプには神が追加されているのです。つまり早苗さんのパワー・タフネスは能力の効果で3/3ということに。緑3マナにこの能力なら使いやすくていい感じですね。

ここまで書いたところで、もっと緑のクリーチャーを紹介するべきという天の声が聞こえましたので、せっかくですから次の二柱に登場していただきましょう。

豊かさと稔りの象徴、秋穣子寂しさと終焉の象徴、秋静葉

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マナ生成という豊穣の神らしい能力を持ちながら、方向性は正反対。片や求める者には与えられんとばかりひたすらマナを産み出しつづけ、片や知足按分、ある程度の実りで満足しなさいよと諭してくれます。
二柱とも条件さえ整っていれば勝手に信仰が集まるのが非常にありがたい。序盤に静葉さんを出しておけば5マナくらいは軽く使えますし、4ターン目以降は穣子さんにバトンタッチする作戦でいけば、無駄なく隙なく豊潤なマナを利用し放題です。穣子さんははっちゃけすぎて思わず相手にも恵みを与えてしまいますが、そこは色制限しか産み出しませんからサテライトヒマワリよりは悪用される危険性が低いですし、なにより先に殴り倒しちゃえば問題ないですね。幸い御二人の信仰条件はプレイヤーのテンポを削ぎませんから。
そう、もちろん御二人とも早苗さんがばっちりサポートしてくれますから、アタッカーとしても優秀なのでありますーーさすが緑強化月間(嘘)

ふーむ、今まで出てきた三柱とも貧弱貧弱ゥ!なタフネスしかないから、何だかんだ言ってもどうせ火力で焼き殺されるだろうって?

ほらーー《寒け》あげるよ。

葉符「狂いの落葉」

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「どうせ第三弾も黒赤全盛だろ」って言ったの、誰?(年金のCM風に)


次回のプレビューはwindfallさんの予定ですがいつも通り予定は未定なので別の誰かが書くかもしれません。
ちなみに、今回のプレビューで早苗さんが1枚少ないのは理由がありまして、ご心配なさらずともちゃんと2枚目も第三弾に収録されてます。勘のいい人なら気づいているかもしれませんが、第三弾はいろいろ変更されていますのでーーなにが変更されたかはそのうち御紹介させていただきますのでお楽しみに。
神棚を開けるべきかどうか悩みつつ、Yifeでした。

第三弾「随喜信仰」プレビュー part5

第三弾の特設ページを作成しつつ、会場で頒布するフライヤーを作成しつつ、トップページを改装しつつ、東京へ行く準備をしつつで絶望的な年末進行になっているYifeです。忙しさにかまけてネットもあまり見ていなかったのですが、友人の
「ホワキャンのサイトで萃符伝のページできてるよ」
と告げられ、慌てて見に行くと入稿したデータが公開されているじゃないですか!天子さんとか一番最後に取っておこうと思ったのに!
プレビューの公開計画が音を立てて崩れ去った瞬間でした。ごらんの有様だよ!

というわけで半分やけくそになりながらのプレビューです。虚を突かれるってこういうことなのかな。

すでに公開した《山坂と湖の権化、八坂神奈子》《洩矢諏訪子》とは2つがペアになるようにデザインされています。二柱をよく似た能力にすることで、その関係性を強調しているわけですね。

今回ご紹介する蓬莱山輝夜・八意永琳も、開発の初期段階からペアにすることが決定していました。とはいっても、すわかなのように対立させるのではなく、お互いを補完させるのが目的です。
ですから、輝夜・永琳についてはカード単体で強弱を説明するのは適当ではありません(単体でも十分に強いカードもありますが)。カードを組み合わせたときの効果を中心にご説明しましょう。



蓬莱山輝夜

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1枚目は分かりやすいものから行きましょう。
単体で見れば青黒混成5マナ5/6。1体しかコントロールできない事を考えれば、あまり良いスペックとはお世辞にも言えません。
もちろん、このカードの真価は八意永琳を隣に置いてやって初めて発揮されるのです。では、八意永琳は?


八意永琳

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《メイド -Lunatic-》の存在意義が一発で消し飛びそうな(いや、彼女は彼女で使い道があるんですけどね)能力です。毎ターン追加ドロー+パワーとタフネスは輝夜と手札のどちらか小さい方。「どちらか小さい方」というと厳しい条件のように聞こえますが、毎ターン2枚ドローはバカになりません。あっという間に手札は6〜7枚まで回復します。
それじゃあ、P/T(パワー/タフネス)の制限にしかならない輝夜は必要ないんじゃないかって?いえ、ところがそうでもないんですよ。ルール上、7枚を超える手札はターン終了時に捨てなくてはいけません。従って、実質的に八意永琳のP/Tは7/7が最大値となるのです。そして、永琳単体では戦闘が有利になる能力を何一つ持ち合わせていません。
輝夜が隣にいれば、最大で5/6にP/Tは抑制されるものの、飛行・トランプル・萎縮という使いやすい戦闘能力ベスト3(当社調べ)をゲットできます。特に萎縮とトランプルが憎らしい。これなら、少々の苦労や制限は気になりませんよね?



ところで、輝夜はさきほどお見せしたカード以外にももう一枚存在します。彼女はどのような能力を?

永遠と須臾の罪人、蓬莱山輝夜

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びっくりするくらい青黒混成と能力が違います。こちらは八意永琳を全く参照しませんし、そもそも色が違います。P/Tも2/2しかありませんから、出てきても永琳のP/Tをいたずらに下げるばかりです。どこが永琳とペアになっているのでしょう?
まず、《永遠と須臾の罪人、蓬莱山輝夜》は刻符3を持っています。つまり、実質的に3ターンしか場に存在しません。たった3ターンなら、永琳のP/Tが下がっても、まあ我慢できます。
次に、《永遠と須臾の罪人、蓬莱山輝夜》は手札のカードを使えない代わりに、輝夜がいる間はライブラリーの上から7枚をあたかも手札にあるかのようにプレイすることができます。一時的な手札加速ですが、本当に手札に加えているわけではありませんので、確実にそして気軽に7枚のカードを使用することができます。特定のカードが欲しい、永琳のドローでも引いてこない……!という場面ではとてもありがたいでしょう。
そして極めつけは「ドローステップを飛ばす」。あなたは輝夜がいる間は通常のドローができないわけですが、先ほどの永琳をよく見てください。
「あなたのアップキープの開始時に、カードを1枚引く」と書いてありますよね。つまり、永琳が隣にいれば、輝夜がいる状態でも依然としてカードを引くことが出来るのです!(輝夜がいる間は使えませんが)


これらのカードを実際にプレイする場面を想像していただければより分かりやすいかと思います。つまり、異なる2枚の輝夜は、永琳との組み合わせによって、「どちらが前に立って戦うか」が変化するのです。カードイラストからも、輝夜の異なる雰囲気が伝わってきますよね。


永遠な二人を紹介したところで、彼女たちのスペルカードがどうなっているのか気になる方も多いでしょう。実は、この二人のスペルカードは実験的・特徴的なカードが多いことが特徴です。どれを公開するか悩んだのですが……全部公開しちゃうと発売後の楽しみをスポイルしちゃいますから、3枚だけを厳選してお見せします。


○『知恵が深まれば悩みも深まり、知識が増せば痛みも増す』(コヘレトの言葉,聖書)

薬符「胡蝶夢丸ナイトメア」

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聖書の『知恵が深まれば悩みも深まり、知識が増せば痛みも増す』という言葉を地でいくカード。永琳がにやにやしながら丸薬を差し出していますが、好奇心にかられて服用すれば痛い目に遭うこと間違いありません。
とはいえ、常備薬としてポケットに忍ばせておけば青への有用な対策となります。少なくとも、咲夜さんが気軽に《インフレーションスクウェア》を撃ってくることはなくなるでしょう。というか、《アリスの書庫管理》やら《メイドの本運び》やらのドローカード系はみんな大打撃です。こいつを何枚かと、あとは《メイド -Lunatic-》を並べておくだけで、対戦相手はインソムニアに陥って自滅してくれるかもしれませんね。


●『生きたり、死んだり、の点滅を繰り返す……。ずっと、生きている、という幻想を、抱きながら』(有限と微少のパン,森博嗣)

蘇活「生命遊戯 -ライフゲーム-」

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ライフゲームとは、「与えられた初期配置を元に、あるルールを適用して、その結果を見る」というプログラムです。あるルールとは、「人口が過密か過小であれば死滅し、適正であれば増殖する」というもの。東方永夜抄において、このスペルカードの弾幕の配置はライフゲームがモチーフになっています。(弾幕の配置は、必ず全滅するパターンになっているらしい)
このカードも、升目が生きたり死んだりするライフゲームの動作を彷彿させます。一旦墓地に行ったクリーチャーをもう一度場に戻す。そして、そのクリーチャーはいつかまた墓地に行くのです。
宣言があれば、クリーチャーだけでなくこのカード自身も場へ行ったり来たりします。手札から場へ、場から墓地へ、墓地から場へ、場からゲーム外へ。まさにライフゲームにふさわしい挙動だと思いませんか?


○『この果実は食べ滓が消滅しないので…天使は夫婦に次のように忠告した。「あれが宇宙の厠だ」と。…こうして人類が誕生した』(万物の終焉,カント)

神宝「蓬莱の玉の枝 -夢色の郷-」

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なんだかSFチックな小見出しですが、なんでもペルシア人はこの世界を「厠」だと考えるのだそうです。『楽園の中央に生えている果実はいくら食べても食べ滓が減らない。それを食べることは禁止されていたが、ある夫婦が掟を破ってしまい、困った天使は遠く離れた地上に夫婦を置き去りにした。』なんだか、輝夜と永琳の話に思えてきませんか?
このカードは輝夜がいれば永遠にマナを生み出し続けてくれます。まさに"食べ滓が減らない"のです。マナを出せるタイミングは限られますが、リソースを減らさずに継続的にマナが発生するのですから、どう考えても弱いはずがありません。一癖あるカードですが、魅力もたっぷりです。


おまけ。

ところで、以前のプレビューで「第三弾ではいろいろ変わってるんですよ」というお話をしました。その1つはwindfallさんが紹介した変形枠であったり、また混成マナの採用であったりしたわけですが、もっと根本的なところから変わっていることに気づいた人はいるでしょうか?

新枠・白新枠・青新枠・黒新枠・赤新枠・緑新枠・アーティファクト


背景イメージを一新しました。

第二弾までのイメージを踏襲しつつ、グランジや光を使用してより"すたいりっしゅ"な感じになっています。今までのカードと見比べていただければ分かりやすいでしょう(ちなみに今までの背景はこちら アーティファクト)。
個人的に、青の透き通るような背景が気に入っています。印刷でも綺麗に出てくれるとうれしいんですけどね。

第三弾「随喜信仰」プレビュー part2

こんばんは。初めまして、もしくはお久しぶりです。WindFallと申します。第3弾の第2回プレビューを担当させていただきます。
今回は書かなきゃならない事が多くて今からいらん緊張をしています。無事最後まで書き終えることができるでしょうか?

さて、さっそくプレビューに入る前に、ちょっと前振りを。
今回、第3弾には開発時からいくつかのテーマが存在しています。そのうちの一つが、タイトルにもなっている「信仰」です。
風神録でその存在が明らかになった幻想郷の神々。彼らは人の信仰を必要としています。直接的に人に祈られ、あるいはその力を振りかざすような行いをすることで、彼らは信仰を得、更なる力を振るうことを可能とするのです。
それを表現する能力が、今回登場しています。その能力とは……?

それでは、今回最初のプレビューカードの紹介に参りましょう。
今回は大盤振る舞い、一気に二枚お見せします。
ご紹介しましょう。幻想郷で神様といえば魔界神この二柱。

洩矢諏訪子山坂と湖の権化、八坂神奈子

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そう、洩矢諏訪子八坂神奈子です。

個々の能力に関しては後ほど語るとしまして、まずは二人が共通して持っている「信仰を得る」「神性」というキーワードについて説明しましょう。

信仰を得る(失う)

信仰を得る(失う)はキーワード行動である。

「[パーマネント]は信仰を得る」とは、「このパーマネントの上に信仰カウンターを1個置く」を意味する。

「[パーマネント]は信仰を失う」とは、「このパーマネントの上に置かれている信仰カウンターを全て取り除く」を意味する。


神性

神性は常在型能力である。

「神性— [テキスト]」は、「このパーマネントの上に信仰カウンターが1個以上置かれている限り、これは追加して[テキスト]を持つ。」を意味する。


注意点としては、
「信仰を得ている状態からでもさらに信仰を得ることができる(通常、あまり意味はないが)」
「信仰の有無はカウンターで判断されるのでカウンターを操作するカードの影響を受ける」
「信仰カウンターが複数乗っているからといって、神性能力が複数適用されたりはしない」
といったところでしょうか。
ともかく、この追加能力によって信仰の有無によって神が力を得たり失ったりする様が再現できる、というわけです。

さて、信仰についてはこのあたりにして、いよいよ個々のカードの解説に入っていきましょう。

○諏訪子さん
白単にして掟破りの全体マイナス修整持ち。確かに昔そういうカードはありましたが、それを差し引いても驚きの能力です。
さらに、自分と同じ白のクリーチャーに対しては強化までしてしまうというサービスっぷり。自身のサイズは4/4とミドル級ですが、適度な白い仲間と共にいればその能力だけで場を一気に制圧してしまえるでしょう。
さらに、人間から祈りを捧げられるとパワーアップ。自身も含めた味方を一気に強化してしまえます。なにやらオーバーキル感漂う感じですが、うまく決まれば場の支配権は完全にあなたのものでしょう。
信仰の条件は少々厳しい(第2弾までで人間というと、キャラクター持ちの人々ぐらいですからね)ですが、チャレンジしてみる価値はあります。

●神奈子さん
黒単にして掟破り……じゃないか。本来の色の役割に沿っているといえるマイナス修整&プラス修整能力持ちです。そういえば昔こんなカードも……げふん。
諏訪子さんと対になるかのような能力ですので、色を変えれば当然同様の効果が期待できます。黒い仲間たちと共に相手を蹂躙してしまいましょう。
しかし、神奈子さんのサイズは諏訪子さんより一回り小さい3/3……。下位互換? いえいえ。その分、信仰条件が簡単かつ攻撃的になっており、諏訪子さんとはまた違った活躍を見せることができます。
吸血鬼のような信仰条件(信者に力を見せ付けているのでしょう)をクリアすると、待っているのは自身の強化。それもかなりの大幅パワーアップです。タフネス修整がやや小ぶりですが、そのまま勢いに乗って相手を倒すには十分といえるでしょう。

双方相譲らぬ力を誇る神様達。あなたはどちらを使いますか?


ところで、話は変わりますが、みなさんマジックの特殊なルールというと何を思い浮かべますか?
マジックの歴史の中では、様々なアイデアが生まれ、また消えていきました。
たとえばそれは左右二分割されたカードだったり、上下が裏返るカードだったり。そうそう、裏向きになるカードなんていうのもありました。
それらのアイデアはマジックを非常に面白くしてくれました。中にはアイデア倒れだったり、面白くするどころかつまらなくしてしまうような物もありましたが……。
さて、ここで問題です。それらのアイデアは、はたして「幻想萃符伝」に取り入れるべきなのでしょうか?
色々な意見があると思いますが、開発陣はある一つのアイデアについて「YES」という答えを返しました。
そのアイデアが何かって? まあ、まずは見てみてください。

土着神「手長足長さま」筒粥「神の粥」

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そう、混成マナシンボルです。
混成マナシンボルは二種類のマナシンボルが半分ずつくっついたような形で表現され、それぞれ、2種類のうちどちらの方法でも支払うことのできるコストを表わしています。たとえば、土着神「手長足長さま」の一番上のマナシンボルは(W/G)ですから、白マナ、もしくは緑マナで支払うことができるわけです。また、筒粥「神の粥」のマナシンボルは(2/U)となっており、これは任意の色の2マナ、もしくは青マナで払うことができる、ということを意味しています。
これを導入することで色々と面白いことが起こるようになります。どんなことかって? まあ色々ですが……たとえば、土着神「手長足長さま」のカードの背景を見てみてください。3色混じってきれいでしょう? これは混成マナカード特有の背景で、他の混成カードもこれを踏襲した形の背景になっています(3色なのは土着神「手長足長さま」ぐらいですが)。テキスト欄をチェックする手をふと休めて、そんなところを見てみても楽しいかもしれません。おっと、もちろん絵師さん達の美麗なイラストをチェックするのも忘れずに。

混成マナシンボルについてはこの辺にして、各カードの講評に移るとしましょう。

◎手長足長さま
掟破りの(今回こればっかりですね)三色混成。どのようにマナを支払えばいいか一瞬迷いそうになりますが、「各色マナ1点ずつ」もしくは「各色のうち1色のマナ2点、もう1色のマナ1点」と覚えれば簡単です。
そんな計算を終えてプレイしてみたカードはなかなかの有望株。3マナ3/3瞬速というだけでもなかなかですが、コントロールしている味方のクリーチャーによってはさらに能力が追加されます。いずれの能力もやや防御的なのが気にかかりますが、強力なのには違いありません。ひとたび召喚すればあなたの強い味方となって戦線を固めてくれるでしょう。ちなみに、このカード自体は白、赤、緑の3色のカードとして扱われるので、たとえあなたが使っているデッキに白が(あるいは赤や緑が)入っていなくても、2体目がプレイできれば白のボーナスは得ることができます。これ、意外と重要なので良く覚えておきましょうね。
これだけでも十分強力ですが、さらに宣言能力まで起動できればもはや無敵です。条件がやや厳しいですがそれだけの価値はあるでしょう。

▽神の粥
やや変則的な土地サーチ及びドローコントロール能力。色さえ合えば2マナからプレイできるのが強みです。
自分のライブラリーに打つと次ターン以降のドローをコントロールできますが、相手にそのドロー内容がある程度ばれてしまうのが珠に瑕です。土地が出せればアンタップ状態で出てくるので、使い勝手は良好ですが、土地が無ければ……。なんらかのライブラリー上を操作する能力と組み合わせるのが吉かもしれません。
また、他のプレイヤーに土地をプレゼントすることもできます。普通は意味がありませんが、これが有利に働く局面もある……かもしれません。
宣言モードでは、なんと他のプレイヤーのライブラリーから土地を奪うことができます。色が合うことは稀でしょうが、マナベースを増大させる効果は期待できるでしょう。相手のライブラリーの上を知る事もできますが、その順番は相手に決められてしまうことに注意。

いずれも個性豊かな混成カード。あなたはどちらを使いますか?


さて、記事も終盤に近づいてきました。最後にお見せするのは、神様たちのもう一つの顔です。
幻想萃符伝をプレイしている皆さんなら良くご存知のように、幻想萃符伝では一つのキャラクターに二枚以上のカードを割り当て、そのキャラの多面性を表現するという手法を用いています(一部例外のキャラもいますが)。神様たちもその例外ではありません。
お気づきかもしれませんが、先ほど紹介した白い諏訪子と黒い神奈子は、昔の……彼女らが初めて出会い、戦った頃のイメージを元にデザインされています。
では、今は? 幻想郷にながれつき、営業と事務で分業するほど仲がいい? 二人は、一体どんなカードになるのでしょう?
百聞は一見にしかず。さあ、どうぞ。

土着神の頂点、洩矢諏訪子八坂神奈子

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えーと、その。何かいいたいのは分かります。落ち着いてください。
カードのFAQ(Frequently Asked Questions、よく聞かれる質問)を記載しておきます。

土着神の頂点、洩矢諏訪子 FAQ

「自身のパワーやタフネスを変更する効果」とは、種類別で第6種に分類される全ての効果である。
例えば、以下のようなことを意味する。

・土着神の頂点、洩矢諏訪子に対して断命剣「冥想斬」をプレイした場合、それは修整を受けない(トランプルは得るが、重複するため意味が無い)。

・土着神の頂点、洩矢諏訪子が死神の大鎌を装備している場合、それは修整を受けない(飛行と絆魂は得る)

・あなたが土着神の頂点、洩矢諏訪子をコントロールしている際、あなたが待宵の狂騒をプレイした場合、それは修整を受けない(あなたが他のクリーチャーをコントロールしている場合、それらは問題なく修整を受ける)

・土着神の頂点、洩矢諏訪子の上に-1/-1カウンターが6個乗っていても、それのP/Tは修整を受けず、墓地には置かれない。


このようになります。理解できたでしょうか?
では、各カードの講評に入りましょう。

□諏訪子さん(黒緑)
いきなり謎の能力でプレイヤーを幻惑にかかる諏訪子さん。それを超えた先に待っていたのは、かなり優秀なヘビー級クリーチャーでした。
高いタフネスと黒という色、プロテクション(白)、そして修整を無視する能力は大抵の除去を無効化してしまいます。トランプルも備えていますのでアタッカー、フィニッシャーとして非常に優秀な性能を誇っています。それにしてはコストは5マナと、かなり割安です。唯一の弱点である「強化呪文が使えない」ということも、素のP/Tが優秀な彼女なら問題にならないでしょう。
説明文が白い諏訪子さんの半分以下で終わってしまうぐらい、簡潔で、優秀なクリーチャーです。

■神奈子さん(青緑)
諏訪子さんと比べると非常にコストが重い印象があるこちらの神奈子さん。プレイヤーへの攻撃ダメージをすべてライブラリー削りに変換し、プレイヤーに改宗を迫ります。
やや冗談っぽい出だしですが、弱いカードではありません。所有するプロテクションは直球で除去対策となる黒。さらに自身のP/Tを実質倍加させる能力を持ち、大抵のクリーチャーは踏み越えてそのままプレイヤーの元へと突き進んでいきます。
倍になったP/Tは脅威の10/10。それ相応のコストはかかりますが、彼女をプレイできているならそこまできつい支払いではないはずです(彼女を何か特殊な方法で出したなら……ご愁傷様)。諏訪子さんに比べてやや癖はありますが、それでもなかなか面白いクリーチャーです。

改めて問いましょう。あなたは、どの神様と共に戦いますか?


さて、紙面も終わりが近づいてまいりました。
このプレビューに関するご意見ご感想罵声ご注進等ありましたら、ぜひWEB拍手コメント、あるいは掲示板でお伝えください。
皆さんの声は製作の励みになります。

次回のプレビューはニュー速回線さんがお送りする予定です。
ではまた。

幻想萃符伝第三弾「随喜信仰」プレビュー!

こんばんは、紅楼夢も終わりましたが皆さんいかがお過ごしでしょうか。
自分は紅楼夢前の修羅場でコーヒーを飲み過ぎてカフェイン中毒→体調を崩して寝込む→風邪という黄金コンボを完成させてしまいました。なるほど、これが最近流行のトリクルダウンか……(その道ははてな村が1月前に通った道だ)

さてですね、以前にもお伝えしたとおり、第三弾が残念ながら冬コミに延期されてしまいました。(紅楼夢で三弾を買いに来てくれた人たち、本当にごめんなさい)
しかし、延期を嘆いていてもしょうがない。ダンディなおっちゃんも

       、--‐冖'⌒ ̄ ̄`ー-、
     /⌒`         三ミヽー-ヘ,_
   __,{ ;;,,             ミミ   i ´Z,
   ゝ   ''〃//,,,      ,,..`ミミ、_ノリ}j; f彡
  _)        〃///, ,;彡'rffッ、ィ彡'ノ从iノ彡
  >';;,,       ノ丿川j !川|;  :.`7ラ公 '>了
 _く彡川f゙ノ'ノノ ノ_ノノノイシノ| }.: '〈八ミ、、;.)
  ヽ.:.:.:.:.:.;=、彡/‐-ニ''_ー<、{_,ノ -一ヾ`~;.;.;)
  く .:.:.:.:.:!ハ.Yイ  ぇ'无テ,`ヽ}}}ィt于 `|ィ"~
   ):.:.:.:.:|.Y }: :!    `二´/' ; |丶ニ  ノノ
    ) :.: ト、リ: :!ヾ:、   丶 ; | ゙  イ:}    逆に考えるんだ
   { .:.: l {: : }  `    ,.__(__,}   /ノ
    ヽ !  `'゙!       ,.,,.`三'゙、,_  /´   「プレビューの時間が長くとれるようになった」と
    ,/´{  ミ l    /゙,:-…-〜、 ) |
  ,r{   \ ミ  \   `' '≡≡' " ノ        考えるんだ
__ノ  ヽ   \  ヽ\    彡  ,イ_
      \   \ ヽ 丶.     ノ!|ヽ`ヽ、
         \   \ヽ `¨¨¨¨´/ |l ト、 `'ー-、__
            \  `'ー-、  // /:.:.}       `'ー、_
          `、\   /⌒ヽ  /!:.:.|
          `、 \ /ヽLf___ハ/  {
              ′ / ! ヽ
              
とおっしゃっておりますので、今回はちょっと長目に約一ヶ月半の間、プレビューをお届けしようと思います。


それじゃあ、それぞれのカードプレビューに入る前に、第三段がどんなセットになるのかをご紹介しましょう。

バランス調整、新能力、新キャラクター。この3点が今回のセットの特徴です。

バランス調整
幻想萃符伝は、第三弾の頒布によって、実に300枚以上のカードが存在することになります。M:tGにおける1つのブロックとほぼ同じ大きさです。
カードプールが増えれば、当然カード間の相互作用も指数関数的に増大します。それぞれのカードパワーのバランス調整が難しくなります。
さて、カードプールが広すぎてバランス調整が難しくなったとき、どうしたらこの問題が解決できるでしょう?

そうだね、テストプレイだね!

いや、冗談じゃないんですよ。約三ヶ月、カード案に逐次修正を行いながら、毎日のようにテストプレイを行いました。
途中でメンバーが「そろそろ三弾にも飽きてきたから次の作らね?」って言い出したくらいです(笑)
でも、そのおかげでちょうどいいバランスになったと思います。すなわち、

どんなデッキでもそこそこ戦える

というバランスです。ひとことだけど、すっごい難しいんだぜこれ
もちろん、理想のバランスに持っていくためには、三弾を調整するだけでなく、過去のカードを変更する必要も出てきました。
遊んでくださっている方なら分かると思いますが、魔理沙やら咲夜やら、倉庫整理やらにどれだけ苦慮したか(笑)
私たちはできるだけエラッタは出したくないと考えていますが、それでもこのまま放置するわけにも行きませんので、
第一弾・第二弾ともにエラッタを発行することになったのです。(エラッタの内容は以前のニュー速さんの投稿を見てください)

でも、どんな調整も、よりよいゲームバランスを達成するため、萃符伝をよりおもしろいゲームにするためなんです。
新しいおもしろさの萃符伝に、どうぞご期待ください。


新能力
第三弾では新しいキーワード能力だけでなく、いままで「こんな能力あったらいいのにな」と思われていた能力を持ったカードもたくさん登場します。
それぞれがどんなカードかは、これからのプレビューで見ていただくとして……いくつかキーワードだけ挙げておきましょう。どんなカードになるか想像してみてください。

「使い減りしない全体ダメージ」「TimeWalk」「ゾンビ化」「全体強化」「ライフ回復(白だけの専売特許じゃないですよ!)」



新キャラクター
もうなんかプレビューする前から、絵師さまのサイトとかpixivとかでバレバレな感じはしますが……(笑)

今回は本当に沢山のキャラクターが登場します!第一弾・第二弾で一般カードに割いていたスペースを、第三弾ではキャラクターにめいっぱい割り振りました。
登場するキャラクターは総勢10名以上。もちろん、それぞれのキャラクターごとに2種類のクリーチャーという伝統も基本的にそのままです(嘘、何人かは1枚だけです。このあと紹介する風見幽香とか)。 

これで、win版以降の半数以上のキャラクターをカバーしたことになります。さあ、自分の好きなキャラクターでデッキを組んでみよう!




さて、以上が第三弾の概要になるのですが、これだけで終わるのはさすがに寂しすぎますよね。
お待たせしました、以前にお約束していたアレをお見せしましょう。

風見幽香
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《風見幽香》は今年の秋にかけて行われた「カードを決めるのは君だ!」という企画で作られたカードです。
プレイヤーの皆さんから募集した投票結果によって、どんなキャラクターにするか、カードの種類は……などと一つ一つ決めていき、出来上がったカードを第三弾に投入するという企画でした。
その結果出来上がったのは緑の蝶優秀なアタッカー。なんですかこのチート能力!みんなそんなに戦闘クリーチャーに餓えてましたか……。
基本スペックは実質5マナ5/5と悪くありませんし、その上にマナ無しで使えるルアー能力+接死が付いてくるなんて……さすが幽香さん容赦ない
普段のタフネスが2ですから、ショック1発で沈んでしまうという懸念はありますが、呪文や装備品等で強化してやれば、非常に頼もしい戦友になってくれます。
いままでの環境だとどうしても火力が強くなりすぎるきらいはありましたが、クリーチャー主体となるであろう第三弾環境を見事に体現していますよね。第二弾までの考え方のままだと大変な目に遭いそうです。
これで「緑?ああ、《陽光の先駆け》のことね」みたいな、緑使い涙目なことはなくなるはずです。相手のクリーチャーを思う存分蹂躙してやってください。


第三弾の初回プレビュー、いかがだったでしょうか。ちょっとあっさりすぎたか?
次はwindfallさんが紹介する予定です。お楽しみにー。

(追記:11/30、WindFall)
タイトルが間違っていたのを修整しました。
次回記事はもう少々お待ちください。

成る程ブロ語で報告……

唐突だけどニュー速回線がなんか言うます!(テンション差

いきなりブログをつかまされたんで見事なまでの発売までの当て馬だと関心はするが本当に俺が告知していいのか……?
とりあえずはまずプレイヤー参加型企画、「カードを作るのは君だ!」の投票パートが終了した事を報告さして貰うよ>>プレイヤー感謝
幾多の設問を通して多数の投票があった事で俺の喜びが鬼なっているが、ここからが本当の地獄の宴だった
これで参加者が実際に関われる部分は終わったんで後は開発陣がやる事があるしょ?
アレだ、バランス調整——(懸念

ここでおさらいしておくとまず今回決めたカードは風見幽香に関するカードと化してるわけだったが、実際に決まったテキストは以下が証拠ログ

§
キャラクター(風見幽香)
《風見幽香》が戦闘に参加するたび、《風見幽香》はターン終了時まで+3/+3の修正を得る。
(0):《風見幽香》はターン終了時まで-3/-0の修正を受けるとともに接死を得る。
(0):クリーチャー1体を対象とする。それはこのターン、それがアンタップ状態であるかのようにブロックに参加できるとともに、可能ならば《風見幽香》をブロックする。《風見幽香》はターン終了時まで-0/-3の修正を得る。
§


見ろ、見事なまでに寄せ餌付き優秀クリーチャーだった
これはバジリスクに寄せ餌つけるコンボを1枚でこなしちゃってるしょ? 俺の中では☆5個だなーすごいなーかっこいいなー
ていうかこれはチートだなー

これを選びまくった皆はどんだけ緑の優秀クリーチャーに飢えていたのかと疑問が膨らんだらしい
実を言うと開発陣はここぞとばかりに3弾環境を優秀クリーチャーあたりで堅めようとしていたのだよ
或る意味萃符伝は1〜3弾全部でやりたい事がほぼやれるようになるかなーという構想で作ってたから、この流れは丁度良いわけなのですわ?

ところでこっから実際にバランスを調整するといっても、既に確定したテキストはこのまま弄れないので後はマナコストやサイズを考えないといけないわけだな……
しかもその上で、このカードが実際に環境に与える影響とかちょっと小難しい事を考えて、3弾全体のバランスをウゴウゴ作り変える必要性も出てくるから地味な作業が繰り返されるわけだよ。
俺が萃符伝内で担当するお仕事にはそういう環境の把握や調整全般も含まれてるってかそれが主なんだが、とりあえずテストプレイによる調整も割と面倒なんじゃよ。

例えば俺らはMWSで対戦しまくってテストしてるんだけども、カード名が全英だからまず暗記しないと話にならない。勿論カード効果とかコストとかそこらへんも全暗記で——まぁカードゲームやったことある人ならこういうのはすぐ覚えられるつーのは分かるしょ?
おいィここで有志の人が作ってくれたツールを使えとか言うんでにい;; 一応理由があって英語カード名も全部暗記しないといけなかったのだよ

その上で更にあれこれデッキを考えて構築して、その環境で出来る全ての事を試さないとバランスが測れないからな。
今回も一通りのデッキは組んだけどドレも没個性的な結果がこれ
でも俺一人だけでは発想力に限界あるんででも他に助けを求められる人間も(役職上)いないんでもうだめ
hai!! 俺はまだ試してないデッキが沢山あるんです!! 早く対戦の機会を増やしテ!!(締め切り間近
とはいえ今回は中々なー色んなデッキを試したが、特にどれが強いどれが弱いという事もなく円滑に回ってるよなーすごいなーバランス結構取れてるなー今回面白いなー
やはりクリーチャーどうしで殴るのがMtGの本懐だと理解したわけだよ>>シャドウムーア参考

見事なまでにオチがつかない話なわけだがつまり幽香についてはまだ何も決まってないってだけだったよ(収束

ほう……強いて言えば3弾では緋想天のあの二人が登場するらしいぞ(伏線
どちらかというとプレビューを待つべきだな俺そろそろ普通に作業に戻るんで……

《月面ツアーへようこそ》についての解説

こんばんは、Yifeです。以前お約束した、《月面ツアーへようこそ》のエラッタについてお話ししましょう。かなり長くなりましたが、最後までお付き合い頂ければ幸いです。

実は、パチュリーと秘封倶楽部関連のカードは、萃符伝第二弾ではなく、独立したミニ・エキスパンションとして頒布する予定でした。このカードの原案が提出されたのは昨年末(2007年12月)のことです。
当初のデザインは以下のようになっていました。

月面ツアーへようこそ 20WW
エンチャント
あなたはゲームに敗北することはなく、あなたの対戦相手はゲームに勝利することはない。
あなたのアップキープ・ステップの開始時、あなたはゲームに勝利する。



この案は以下のような特徴を示します。
・異常に重いマナ・コスト。秘封倶楽部の世界では、バイトの貯蓄程度で行ける程度には宇宙旅行が廉価なようです。それに倣って、『不可能ではないけれど、非常に支払うのが難しく感じられるコスト』を設定しています。
・《白金の天使能力》。"資本主義社会の見せるノアの方舟"を表現するのに、これ以上象徴的なメカニズムがあるでしょうか?
・次のあなたのアップキープの開始時に勝利。これはイメージ的な理由とゲームバランス的な側面があります。イメージ的にはチケットを購入してから地上でのトレーニングを積み、実際に発射準備が整うまでのタイムラグを表します。ゲームバランスから見ると、対戦相手にエンチャント破壊で対処するタイミングを与えることによって、エンチャント破壊カードを相対的に強くするとともに《月面ツアーへようこそ》の強さを抑える効果があります。

開発陣はこの案に興味を引かれました(ええ、もちろん一番乗り気だったのは私です)。開発陣がいくつかの改良点を加えたのが以下のバージョンです。
月面ツアーへようこそ 20
アーティファクト
あなたはゲームに敗北することはなく、あなたの対戦相手はゲームに勝利することはない。
月面ツアーへようこそを生け贄に捧げる:あなたのアップキープ・ステップの開始時、あなたはゲームに勝利する。



・カードタイプがアーティファクトになった。これは純粋にイメージに基づく変更です。月面旅行は明らかに科学の(人工の)産物ですからね。
・マナ・コストから色マナを取り除いた。これはカードタイプがアーティファクトになったことによります。(この時点ではマナ・コストはまだ仮決めでした)
・勝利するためにはカードを生け贄に捧げるようになった。これは、チケットを”もぎる”動作を模しています。

これで大まかな方向性は決定しました。最終的にバランス調整を加えたバージョンが以下です。
月面ツアーへようこそ 30
アーティファクト-チケット
親和(墓地) (※注:ルール的に正しい表記ではない)
月面ツアーへようこそが場に出たとき、あなたがそれを手札からプレイしたのではない場合、あなたがコントロールする他のパーマネントとライブラリーと墓地をゲームから取り除く。
あなたはゲームに敗北することはなく、あなたの対戦相手はゲームに勝利することはない。
月面ツアーへようこそを生け贄に捧げる:あなたの次のターンのターン終了時、あなたはゲームに勝利する。



・サブタイプ「チケット」が追加された。より明確に”チケットをもぎる”という動作を表すためです。
・マナ・コストが(10)増え、親和(墓地)が追加された。萃符伝には(第二弾開発当時)積極的に墓地にライブラリーを落としていくデッキはありませんでしたから、そのテコ入れも兼ねていました。また、このシステムなら他のカードとのシナジーをより重視することになります(シナジーを考えるのって楽しいでしょう?)。
・リアニメイトできなくしました。《満身創痍》等で速攻で持ってきた上で、スーサイドすることができないように、との配慮です。
・勝利タイミングを次のターン終了時にしました。


この時点で開発陣はこのカードを使うデッキは以下の4タイプがあると考えていました。
墓地を稼ぐデッキ
・《十六夜咲夜》+《インフレーションスクウェア》による、大量ディスカード&大量ドローで墓地を稼ぐデッキ。
・《気難しい裁判官》のcip能力で墓地を稼ぐデッキ。
マナを稼ぐデッキ
・《大魔法図書館》《ミステリーサークルの再現》《月&木符「サテライトヒマワリ」》等で大量のマナを産み出すデッキ。
とにかく《月面ツアーへようこそ》を場に出して、負けない置物になるデッキ
・《有限を夢幻に変える景色》から《月面ツアーへようこそ》を墓地に落とし、《満身創痍》で場に戻すデッキ。

それぞれのデッキを組んでプレイした限りでは、マナや墓地を稼ごうとすると早くても6〜7ターンが必要であることが分かりました。また、《有限を夢幻に変える景色》デッキなら理論上最速2ターンで《月面ツアーへようこそ》を場に出すことが可能ですが、その後アーティファクト破壊やバウンス等で対処された場合に負けてしまうもろさを抱えています。つまり、結局いずれのデッキもさほど問題視はされなかったのです。


そして、第二弾が発売されてしばらくが経ったとき、最速1ターンで墓地を稼ぎ、手札から《月面ツアーへようこそ》をプレイするデッキを開発陣の一人が見つけてしまったのです。

以下にそのレシピをお見せしましょう。
//クリーチャー 14枚
4《小野塚小町》
4《図書館の司書》
2《三途の水先案内人、小野塚小町》
4《メイドの魔法陣纏い》

//呪文 22枚
2《月面ツアーへようこそ》
4《投銭「宵越しの銭」》
4《結界「夢と現の呪」》
4《俗世のスキマ》
4《幽明境を異にする》
4《裏表ルート》

//土地 24枚
24《沼》


動作はこうです。1ターン目に沼をセットし、《小野塚小町》をプレイ。その後、《月面ツアーへようこそ》2枚と《投銭「宵越しの銭」》が手札にあればスタートです。
《投銭「宵越しの銭」》を代替コストで、自分を対象にしてプレイします(マナがかからないのでパーツさえあれば1ターン目にそのまま撃てるのがポイント)。自分のライブラリーを何枚めくろうと、《沼》か「黒のカード」しか入っていないのですから、必ずライブラリーがなくなるまで公開して墓地に置くことになります。その後、墓地が十分にたまったので《月面ツアーへようこそ》を2枚プレイし、1枚を生け贄に捧げて次の自分のターンの終了時にゲーム終了です。
いずれかのパーツが揃っていない場合、大量に投入したドロー&サーチカードでライフとか色々かなぐり捨てても持ってきます。なにしろ、《月面ツアーへようこそ》をプレイしてしまえば、ライフがマイナスになろうがライブラリーが空になろうが負けないのですから。

このデッキの恐ろしいところは、必要パーツが少ない上に最序盤からスタートでき、おまけに《月面ツアーにようこそ》に頼らなくても中速黒ビートダウンデッキとして機能することです。しばらくのテストプレイの後、開発陣はなんとかエラッタを出さずに対処しようと努力しましたが、最終的にはエラッタを出さなくてはいけないことに全員が合意しました。


以上が、《月面ツアーへようこそ》が提案されてから、エラッタで修正されるまでの経過です。まとめると、”負けない置物”になること自体はさほど強くなかったのですが、複数枚の《月面ツアーへようこそ》を素早く場に出す方法が発見され、そのデッキが予想以上に安定して動くために修正される、ということになります。

プレイヤーの皆様には、”後出しジャンケン”の様な事態になってしまい、大変申し訳なく感じています。特に《月面ツアーへようこそ》を使用したデッキを作った方、作ろうとしていた方にとって、この影響は無視できるものではないことはよく理解しています。しかし、このまま修正せずに放置すると、環境が《月面ツアーへようこそ》を使用した高速黒デッキを中心に構成されることになりかねません。このデッキはゲームの楽しさをスポイルしてしまう要素がすべて詰まっています。ゲームが運だけで決まってしまうこと、対戦相手を退屈させること、一つのパワーカードによってそれ以外のカードを使ったデッキ構築が絶望的になること、などです。まさに”MoMAの冬”の再来になりかねないのです。

最後に、今回のエラッタ修正についてプレイヤーの皆様に深くお詫びいたします。なお、現在発効しているエラッタは、再販分ではすべて修正される予定です。

幻想回向プレビュー part7

こんばんは、yifeです。ついにこのプレビューも最終回ですね。前回ニュー速さんが予告されていたとおり、今回は私がプレビューを書かせていただきます。


以前言っていた順番と違うじゃないか、と気づいた人がいたらすごいですが、ぜひ私が書きたいと無理を言ってwindfallさんに替わってもらったのでした。なぜって?そりゃもちろん、秘封倶楽部が大好きだからですよ!



もしかしたら、第二弾の登場キャラクター一覧を初めてご覧になったときにこの2人が入っていたのを不思議に思われたかもしれませんね。それほどメジャーでもない秘封倶楽部をなぜフィーチャーしたのか?それはもちろん私がひたすらプッシュしたのもありますが――しかしもちろん、別の理由もあるのです。つまり、ゲームの世界観を広げるために、そしてよりタクティカルなプレイを可能にするために。



ご存じでしょうが、秘封倶楽部は私たちと同じ結界の外の世界に暮らす大学生2人で結成されたサークルです*1。その活動内容は、結界の隙間を見つけては潜り込み、他の世界を探検すること。もちろん、一般人である彼女たちに戦闘能力はありませんが、豊富な知識と飽くなき探求心の担い手である彼女達はそんなことで怖じ気づいたりはしないのです。



サークルメンバーの1人、マエリベリー・ハーン。結界を視る程度の能力を持つ彼女は、夢の中で幻想の世界に旅立って、現実世界に様々な品々を持ち帰ってくることがあります。この状況を表現するとどうなるでしょう?萃符伝をプレイ中、私たちが見ているライブラリー、場、手札や墓地といった領域は幻想郷を表現しています。――つまり、博麗大結界の内側です。では、大結界の外側とは?



彼女は結界から溢れだした様々なものたちを見つけてくることができます。それらは結界の中と外で同じ姿形をしているとは限りませんが、いかな姿であれ、それはきっとあなたの助けになるはずです。



もう1人のサークルメンバー、宇佐見蓮子。彼女は大学で超統一物理学を専攻しています。彼女はメリーのように直接幻想に関わることはできませんが、その莫大な知識と知恵は、現在と過去を分析し、現状を理解し、知識に裏打ちされた的確な判断することによって、あなたに最適な未来への選択肢を見せてくれます。



しかし、ゲームプレイ的な観点から2人の能力を見ると、それぞれ単体ではアドバンテージを取ることができないことにお気づきでしょうか。蓮子は迫り来る未来の情報とよりよい未来への手がかりを与えてくれるとはいえ、カードを引いたりライフを回復したりしてくれるわけではありません。メリー*2だって、そもそも何らかの方法でカードをゲーム外に取り除かなければただのシャドー持ちの0/2です。



しかし、秘封倶楽部たる彼女たちの能力を個別に評価するなんて野暮もいいところ。2人はタッグを組んではじめてその真価を発揮します。

蓮子の知識とメリーの能力を合わせれば、未来を予測するだけでなく、最適化することができるのです。

その具体的な能力は、Xマナを支払うことで占術X*3を3回行うこと。5マナ支払えば、最大15枚のカードを見ることができます。それらのカードは、単に順番を変えるだけでなく、欲しくないカードをライブラリーの一番下におくこともできます――望まない未来を回避できるのです。これがどんなに強力な効果がお分かりでしょうか。確かに、この能力も盤面には一切の影響を及ぼしません。しかし、あなたは毎ターンのドローで、常に状況に最も適したカードをライブラリーから探してくることができます。つまり、マナさえ十分なら、実質的にデメリット無しで《魔性の教示者/Diabolic Tutor》をインスタントタイミングで好きなだけ使うことができるのです!相手のターン終了時に余ったマナで能力を起動して、続く自分のドローで欲しいカードを確保する。とても魅力的ではありませんか。決してクリーチャーを出して殴り合うだけがマジックの楽しさではありません。よりテクニカルになった戦いで、あなたの頭脳を対戦相手に見せつけてください。





さて、これまでのプレビューをご覧の方はお気づきかもしれませんが、いずれのプレビューも「キャラクター本人とスペルカード、それ以外のカード」の3枚を紹介するのが基本構造になっています。しかし、秘封倶楽部のメンバーはスペルカードを持っていません。「なるほど、じゃあ彼女たちは収録枚数が少ないのかい?」ですって?いえいえ、そんなことはありません。確かにスペルカードはないものの、幻想回向に登場する他のキャラクター以上に彼女たちに関連するイベント・人物を表したカードが収録されています。ぜひそのすべてを紹介したいのですが、今回はそのうちの1つを紹介して終わることにしましょう。残りは例大祭をお楽しみに!*4



現実世界でも月旅行にお金さえあれば行ける時代になりましたが、秘封倶楽部が住む時代でもそれは同じようで、月面旅行に出かけるにはそれなりのお金が必要なようです。彼女たちは一度はその金額を見てあきらめるのですが、『別の方法』で月に行くことを検討し始めます。さて、実際のところどれほど高額なのでしょう?オープン・ザ・プライス!



30マナ!そもそも出せるかどうか非常に怪しいマナ・コストです。しかも、不正入手(墓地から釣ってくるとか)すれば、とても厳しい制裁が待っています。唯一の望みは、墓地の枚数によるマナ・コスト軽減。量産効果によっていくらかは費用が安くなるのです。

しかし、その効果はコストを支払ってあまりあるほど魅力的です。このチケットを持っている限りあなたは敗北することはありませんし、対戦相手は勝利することができません。おまけに、チケットをもぎれば、次の自分のターンの終了時に月面旅行に旅立つことができます。まさに科学の勝利――宇宙開発勝利です!*5科学の申し子たる彼女たちにはまさにふさわしい勝利ではないでしょうか。Yes, that's the ticket!*6





これで幻想回向のプレビューもおしまいです。最後まで読んでいただいてありがとうございました。とりあえずこのブログの更新は例大祭までお休みです。それ以降はまた交流会の情報などを乗せていく予定です。しかし、とりあえずは例大祭をお楽しみに。

それでは、例大祭にいらっしゃる方と日曜日にお会いできるのを楽しみにしています。よい週末を!





*1※正確には近未来

*2※マエリベリー・ハーンの愛称

*3※ライブラリーのカードを上からX枚見ることができる。そうした場合、それらのうち好きな枚数(0枚でも可)を好きな順番でライブラリーの1番下に置き、そして残りを1番上に好きな順番で置く。

*4※秘封好きの人は本当にお楽しみに!収録枚数だけで言うなら、実は登場キャラクターの中で秘封関連のカードが一番多いという驚愕の事実

*5※ちなみに、このカードの開発時のあだ名は《アルファケンタウリへようこそ》でした。

*6※まさにお誂え向きだ、の意

幻想回向プレビュー part6

早くもプレビューが一周してきおったわ。


そりゃ途中で諸事情ウゴウゴしてりゃー已むを得んわね。



さてまぁ運命のDoomsDayたる例大祭まで後5日、ここまで来るとプレビューも佳境も良いところさね。

そんなわけで今回のメインキャラクター達の中でも飛び切りの待遇を受けた娘を紹介するぞ。



それはこの知識と日陰の少女で御馴染みの彼女だ――全く以って俺はパチュリー好きと囁かれる事が多くて困る。実際そうだけど。精霊魔法としての技の属性の多彩さや弾幕の美麗さ、キャラそのものにも魅力が多い彼女に惹かれる者は多かろう。

彼女はこの萃符伝でもその力を認められ、MtGという土俵で大活躍する事となるだろう。

まず上記のパチュリーを見てくれ。こいつをどう思う

すごく……ネタ振りがデジャヴです……

とにかく色拘束が痛い事に着目しよう。 最初カードデザインした時からあまり姿こそ変わっていない。当初から、構想はウィザードをウィザード足らしめるような、マナコストの重さに対する貧弱さをウリにしていたんだ。

彼女そのものは病弱娘――最近その設定は忘れ去られつつあるが――なんだから、このような貧弱!貧弱ゥなサイズでも致し方あるまい。

今更青のトリプルシンボルに驚く読者の皆さんでもあるまいと。当然。ウィザードの資本は身体では無い。

有り余る知恵を有する大魔法図書館、それを統べる彼女は知を引き出す事を得意とする。

とはいえパチュリーの可愛さは基本的には一人では動かないところだと思うんだ。彼女は紅魔館周りのメイドや、そこらへんを遊歩する小悪魔の首根っこを引っつかんで図書館内の本を探させる。

その結果得るものはMtG、ひいてはカードゲームにおいての根本的な強さ、ハンドアドバンテージだ。

無論パチュリーの力はそれだけに留まらない。

ドローによって知識を得、更なる力を行使する。今回の萃符伝の環境ではコントロールの色を強くしているんだが、その中でもパチュリーのもう一つの能力は格別だ。

メイドや小悪魔を使役するだけに飽き足らず、手札に眠った彼女らをポイポイ捨て、必殺のカウンタースペルを発動する。

マナさえあればタップ無しに連打出来るので、上手くメイドや小悪魔を手札に溜め込めるデッキを組めば相手に何もさせないまま、パチュリー1体でゲームを掌握出来る筈だ。



あれっ小悪魔って初耳なんだけど(

って人ばっかだと思うのでその実態を若干だけお見せしようじゃない。



彼女は名の通り悪戯好きな悪魔でパチュリーへは全く与している様子は無い。能力も正反対で、スペクター系の能力を発動する優秀なキャラクターだ。

あまりパチュリーは人様の知恵を食らうような愚考は好まないだろうけどモノは考えようだ。

ちなみに 小悪魔さんもキャラクターである手前、実はもう一つの彼女が存在する。

そちらはこの悪戯魔とは全く正反対の性質を持ってるんだが……それは読者さんにも察しはつきそうか。



あ、勿論パッチュリーさん一人だけではドローも出来ないし打ち消しも撃てない。

しかもパワーも無い。このままではただの置物だ。エンチャントみたいによく机の隅で忘れ去られるアレだ。

彼女の力に頼りたいのならば、君のデッキを大図書館ぽい構成にするしかないのさね。





さりとて――キャラクターといえば最大の見所はスペルカードだ。彼女も彼女単体では終わらない。

マーキュリポイズンなるカードは、術者本人そのものを後押しするかのようなカウンターカードである事を見て取れる。色もとても彼女らしいわけだが……なんとまぁイヤらしいライブラリー破壊のオマケつき。

相手の使った呪文の威力をまるっとハネかえし、直接相手の選択肢を破壊していく。元々東方のゲーム中でもカウンターは得意だとかなんとか言うし、倍返しもお手のモノなんだろう。と思ったら術者本人がいると更に倍になった。

宣言によって倍倍返しともなれば、これでは咲夜さんもうかつにアレは撃てまい。

逆にショックみたいなモンを打ち消す時には注意してくれ。ただの重いキャンセルになっちゃうからさ。



しかしドローだの打ち消しだの手札破壊だの、青黒くさいチマいいやがらせしか出来ないのかい君は。

パチュリーも日陰の少女と謳うだけあるな。もう知識じゃなくて日陰だけでいいじゃん(横暴



しかしあまり彼女を怒らせない方がいい……



げぇーっあの技は

パチュリーさんが体調の良いときにしか使えない全力全開の時空必滅スペルカード!



彼女に似つかわしく無いまでの大雑把呪文はパチュリー本人も巻き込んで全てを消し去る。術者がいればカウンターすらも通用しない呪文で、エンチャントと 後 山札 以外の全てを壊滅させてしまう。

墓地にすら残らないし、そもそも墓地すらも無くなる。跡形も残ってはくれない。

その分のコストの重さなんてあまりにも安いもんだろう。

全く厨臭いなさすがパチュリーくさい



だが エンチャント は破壊しないのよ。

「相手のエンチャントは残っちゃうじゃなーい」と思うかもしれない。とはいえそこは矢張り考えようだ。

「じゃあ自分がエンチャント貼ってそれで勝てばいいんじゃねー」

と考えるのが、

このゲームでは最も重要とされる思考だろう。

なにもキャラクターを持つものがクリーチャーである必要はない。言わばこのパチュリーは自らを魔力そのものと化した、効率重視の姿なのだ。

相手の目を欺き、隙あらば必殺の一撃を放ちにかかる。

結局最後まで正々堂々と戦わない彼女でも、その力を借りるにはそれ相応の対価が必要だ。それは眩く光る5色のマナ・シンボル。MtG経験者ならばこれを使役する事がどれほど難しいか、簡単に理解できると思う。

実は、パチュリー本人のみならず、パチュリーの持つスペルカードは全ての属性、全ての色をおさえている。

上で紹介した2つのスペルカードもほんの挨拶代わりでしかない。プレビュー冒頭で言った“優遇”てのはそういう事だったのさ。



この萃符伝第二弾をそのまま代表すると言っても過言ではない、あらゆる戦局にて活躍できる力を備えた七曜の魔女。

それがパチュリーというわけだ。

でも色拘束が気になった時は図書館に聞いてみようぜってか図書館ほんと万能だな!



マナまで備えようとは全く抜け目のない策士よのう、パチュリー……

おかげさまで萃符伝においては、彼女に出来ない事はない。保障しよう。







次回予告:Yife君がなんか言ってますー

     というか後キャラ1つしかないからお察し

幻想回向プレビュー part5

こんばんは。例大祭まであと1週間に迫りましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。


プレビューを始めてから、一日10アクセスくらいしか無かった当サイトが20-30倍のアクセスを数えるようになって『狂喜』しています。+1/+1カウンター万歳!



今回紹介する《小さな百鬼夜行、伊吹萃香》も、+1/+1カウンターを使用したギミックを持っています。

場に出たときは小さいものの、お酒を飲んで酔えば酔うほど巨大化していきます。そのペースは1ターンに+1/+1。以前にも紹介した《一喝》など、何らかの手段でアンタップしてやればさらに大きくできます。1ターン目に《森》から出せれば、5ターン目には4/4、10ターン目には9/9にまで成長します。早いうちに除去できなければ、すぐに手のつけられない存在になってしまうでしょう。

さらに、疎と密を操ることにより、ミニ萃香を産み出すこともできます。そりゃもうぽこぽこと。産み出すのに必要なマナはたった1マナですから、「余ったマナで分裂→攻撃→ブロックされたらダメージを乗せて萃香に戻る」とか、「余ったマナで相手のターン終了時に分裂→次のターンに攻撃」なんて小技も可能です。様々な能力で対戦相手を翻弄する彼女は、強力で厄介なクリーチャーとなることに間違いありません。

ところで、みなさんはプレビューpart1で紹介した彼女を覚えていらっしゃいますでしょうか。彼女のテキストを今一度よくご覧ください――「他のクリーチャーが場に出るたび」と書かれていますね。そう、彼女の能力はクリーチャー・トークンでも誘発するのです!

これがどれくらいすごいことか、ちょっと計算してみましょう。あなたが《大らかな裁判官》を4体コントロールしている状態で、対戦相手のターン終了時、余った3マナで萃香からトークンを発生させるとします。1体目の鬼・クリーチャー・トークンを産み出すと4点回復。2体目以降は8点回復です。つまり、たった3マナで4+8+8=20点回復!5マナなら36点、10マナあれば76点回復できます。訳が分かりませんね!



ん?あれ、なにかご不満ですか?「そんなにライフを回復したって、対戦相手のライフを減らせる訳じゃないし、勝利に結びつかないよ。もっと攻撃的なカードはないの?」ですって?それじゃあ、彼女のスペルカードを見てみましょう。

先に理解しておいて欲しいのは、幻想郷最後の鬼である彼女はとても誇り高い、ということです。彼女はどんな相手にも正々堂々と立ち向かいます。端から見れば非効率にみえるかもしれませんが、彼女は自分の圧倒的な力があればいかな小細工も打ち砕けるということを理解しているのです。

例えば、こんな風に



さあ、そろそろ次のプレビューに移る時間です。最後に1つだけ、カードをお見せして終わることにしましょう。

このプレビューを最後まで読んでくださったあなたなら、このカードの本当の強さが分かるはずです。

《妖鬼 - 疎 -》



それではまたお会いしましょう!次回のプレビューはニュー速さんが引きこもり少女を紹介する予定です。よい"祭りの前"を!

幻想回向プレビュー part 4

 こんばんわ。プレビューpart1以来のご無沙汰でした、WindFallです。早い物で今回でプレビューも4回目を迎えることとなり、紹介者も一巡して私に戻ってきました。皆さんももうご存知のとおり、このプレビューは私も含めた3人――Yife氏、ニュー速回線氏、WindFall――で順番に執筆しています。執筆者ごとにそれぞれカラーの異なった文章を楽しんでいただけたら幸いです。

さて、前置きはこのぐらいにして、さっそくプレビューに移る事にしましょう。
前回の予告どおり、今回のプレビューでは文々。新聞を擁する新聞記者、伝統の幻想ブン屋、射命丸文にスポットライトを当ててお送りいたします。

さっそく能力を見ていきましょう。クリーチャーとしての彼女はこの上ないほど貧弱です。飛行こそ持っているものの、戦闘時の頭数として数える事は出来ないでしょう。しかしながら、嘆く事はありません。新聞記者の本領は戦いに在らず。彼女もまた、直接の戦いとは違う、強力な能力を持っているのです。
それは、スペルカード呪文を打ち消し、さらにそれを自分の物として一度だけ使用できるという、非常に強力な能力です。多目のマナ、さらにタップも必要としますが、その能力の有用さは計り知れません。
彼女の特性を考えてみます。まず、カウンターの能力とはいえ、その能力が実際に火(?)を噴くことは少ないでしょう。なぜなら、残念な事に彼女の存在は事前に相手に知られてしまっているからです。しかし、その事は逆に相手への威圧にもなります。彼女がアンタップしている時(そしてあなたのマナが潤沢な時)、無防備にスペルカード呪文をプレイできるプレイヤーはまずいないでしょう。相手の強力なスペルカードを、その手札に縛り付ける事ができるのです。もちろん、それだけでは幾らでも対処されてしまいますが、あなたの方もなにも文だけが戦っているわけではありません。part1で紹介した<<楽園の最高裁判長、四季映姫・ヤマザナドゥ>>や通常のカウンター呪文等と組み合わせれば、あなたの守りはまさに鉄壁となる事でしょう。
さらにトリッキーな使い方もあります。自分のスペルカード呪文が相手に打ち消されそうになったとき、自分で文の能力を起動し、打ち消してしまうのです。結局打ち消されるじゃないかって? いえいえ、文の能力でもう一度呪文を使う事が出来ますから、実質相手のカウンターを打ち消したのと同じ効果になります……文が倒されなければ。まあ、即座に文が倒される事はそうそうないでしょうから、あまり心配は要らないでしょう。多分。


さて、ここまで文の能力を解説してきましたが……不満そうな声がちらほらと聞こえますね。なんでしょう。
え? 文はこんなに貧弱じゃない? 新聞記者であるだけじゃなく、強力な力を持つ天狗でもある筈だって?
確かにそのとおりです。人も人以外も得てして多面性を持つ物。射命丸文という少女を表現するには、一枚のカードではとても足りないのです。それを解決するため、私たちは――第1弾をプレイしてくださった方ならすでにご存知のはずの――とてもシンプルな解決方法をとることにしました

そう、文を表現するカードは1枚ではありません。キャラクター能力(詳しくはこちらを参照してください)を応用する事により、一人のキャラクターを幾枚ものカードで表せます。それにより、文のような多面性を持つ少女も余すところ無く表現する事が出来るのです。キャラクター能力の応用方法はそれだけではありませんが……今はこのぐらいにしておきましょう。今後のプレビューをお楽しみに。


さて、天狗としての文の能力を見てみましょう。まず目を惹くのは、ずらりと並んだキーワード能力の数々です。飛行、瞬速、速攻、先制攻撃。どれもが彼女の特性である「速度」をこれでもかというほど表しています。さらに、手札を1枚捨てることで即座に手札に撤退する能力まで備えており、除去に対する耐性も抜群です。能力が盛りだくさんな分単純なサイズには少し問題がありますが、彼女の速さを妨げるほどではありません。彼女はまさに、その速度を持って幻想郷に君臨する「幻想郷最速」なのです。

彼女の使い方は多様です。たとえば、赤を織り交ぜたパーミッションデッキのフィニッシャー。パワーは少々控えめとはいえ、7回攻撃すれば対戦相手のライフはなくなります。瞬速で隙を作りにくく、除去に耐性のある彼女を採用するのに問題はないでしょう。たとえば、赤単デッキの中型クリーチャー枠。飛行と速攻の組み合わせは相手にとどめを刺す際に非常に有効ですし、普通に出して殴っているだけでも火力でのとどめのサポートをしてくれます。後者の際には、クリーチャー戦闘で有利になる先制攻撃が大きな助けとなってくれるでしょう。それ以外にも、彼女をうまく使う方法は多々あるはずです。


さて、これまで単純にクリーチャーとしての文を紹介してきましたが、文の関連するカードはそれだけではありません。そう、彼女の持つ多彩なスペルカードが、文の能力に彩りを添えてくれます。今回は、その中でももっとも派手な1枚を紹介しましょう。

さあ、見てみてください


どうでしょう? これが彼女の切り札です。力持つ天狗らしい、豪快な一枚だと思いませんか? しかも、ただ大胆なだけではなく、狡猾な一面――瞬速――をも持ち合わせているのです。

これをどう使うかはあなた次第ですが、文とのコンビネーションがこのカードをさらに強力にすることは確かです。たとえば、赤い文が出ている時、相手のターン終了時にこのカードをプレイし、次のターンで文をプレイしてみればどうでしょう。無人の荒野を最速の少女が駆け抜けていくさまは、なんだか絵になりますし……なにより、非常に強力です。


知的にして最速の少女。彼女とそのスペルカードがあなたの手に届くまで、もう少しだけ待っていてください。


さて、次回のプレビューでは、最も古い力を振るう少女を、上司ではないですが偉い(と私が思っている)人ことYifeさんが紹介する予定です。
それでは、またお会いしましょう。よい萃符伝ライフを。

幻想回向プレビュー part 3 & 拍手レス

こんばんはー!今日は三回目のプレビューの日です・・・が、その前に拍手レスを。

>うみ
うみ?
ちなみに、海の反対って空と山のどっちなんでしょう?

>先生・・・サイトの雰囲気が良いです・・・
ありがとうございます・・・苦労が報われましたorz


それでは、お待たせいたしました。カードプレビューをどうぞ。
今回はニュー速回線がご案内いたします。

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拍手(myブログで)されたからには登場せざるを得なかった。
というわけでおいすー 最近あらゆる場所に偏在しつつあるニュー速ですこんばんわ。
黄金週間も終焉を迎えたのに未だにぼくは信じようとしません。

ときにプレビューだそうで。
我がフランちゃんへの偏愛振りには周囲も一目置いてるという名目で一歩引いてる節があるわけだが、まぁロリコンである事を暴露してる以上邪な考えも公言すべきだという主張の下に全力で彼女を紹介致そう。

フランドール・スカーレットは、当萃符伝第二弾――第一弾含むかもしれん――において漸く登場したと言える、“見れる”クリーチャーだと思わないか。
この、生半可なクリーチャーを寄せ付けすらしないパワー/タフネス、火力をも実質封殺し、更に黒除去を寄せ付けぬ色。
まま、ここまでは黒いファッティとしては当然。イラストもさる事ながら始めての弩級クリーチャーの印象に圧倒されがちではなかろうか。良く見れコストが合計10マナもあるじゃないっか
まぁそりゃあこの能力を見れば納得できるじゃろう……?
かつての本家Mt:Gにおける催眠魔を彷彿とされるとんでもない手札除去能力。おまけのようにくっついて来た打ち消されないという一文が彼女の非道振りに追い討ちを掛けるわけさね。色々な意味で禍々しいところが全く可愛い。
とまぁ、これほどマナ・コストが大雑把な彼女はやる事も大雑把だったのよね。
特に相手が手札を溜め込み、こちらの出方を常に伺うようなデッキであれば、10マナ溜まるまで待っておこう。それだけで良い。
逆に速攻で勝負を決めにくる相手では速度不足甚だしいけど。
まぁ、フランちゃんは曲りなりにもEXボスであられる――――姫様の出番は最期まで取っておいてやるものなのさ。

しかしいくら1枚のカードパワーについて語ったところで、彼女単体での勝負ばかり考えていては矢張りゲームがスムーズに進まない。
君が使うデッキでのEXステージの道中は、色の相性の良い紅魔館の人々に華麗に彩って貰いたい。
とはいえ、フランちゃんは決して序盤戦に脆いわけじゃないよ。
フランちゃんのスペルカードはどれも小回りが通用し、デメリットを伴いつつもテクニカルかつ残虐非道な効果を齎す事が出来る。
その効果はどれもが確実なアドバンテージを君に与えてくれる。4種類全てが美しいまでのパワーカードだ……とはいえ、プレビューでは残念な事に1つしかスペルカードを紹介できない。
ここはひとつ、フランちゃんの至高の出来と思われる1枚を紹介しよう。

というわけでこのスペルカードを見てくれ。こいつをどう思う
すごく……ウザいです

注目すべきはなんといってもマナコストのカラフル振り。戦いを鮮やかに演出するフランちゃんらしいカードだ。色拘束はかなり厳しいものの、効果はマナの色にそぐった強力無比なもの二種類ときた。特に宣言により双呪を使えるようになった暁には正に紅魔無双が始まる始まる。
勿論、普通に使ってもアドバンテージを損なわない優良カード。上の能力は再生を許す除去だが黒いクリーチャーをも対象に取れ、キャントリップがオマケについてきてハンドアドバンテージを失わない。倒さなければ負けるようなクリーチャーがいる時に限ってそいつが黒い、とかありがちだしね。
そして下の能力は敵クリーチャーをバウンスしつつ手札の破壊を強要する。手札が複数枚あれば、戻したクリーチャーを捨てるべきか他のカードを犠牲にすべきか相手は迷うところだろう。勿論相手の手札が無い時に使えば実質的な除去になる。
萃符伝が多色推奨環境な事を後押しするかのようにこんなカードが登場するとあっては、中々如何して紅魔館の優勢を物語ってるわけやね。

でも宣言はフランちゃんが場にいなければ使えないよ! 10マナも溜めてたら撃つ機会を損なうよ!
そんな時はもう1枚あるフランちゃんに期待すればいいじゃない! マナコストは秘匿だけど!

どうしても大きい方のフランちゃんを使いたい時は墓地からリアニメイトしよう。でも気をつけてくれ、フランちゃんはコストやP/Tに似合わず、とても繊細で気高い。
彼女の眠りを妨げて、手札以外の場所から強制的に場に出してしまっては、不貞腐れて満足に能力は発揮してくれないのだよ。

ちなみに。
フランちゃんはレミリアお姉様と同様に、吸血鬼の僕を手にしている。
峻厳高貴にして見敵必殺を誇る彼女達に従えるのだから、そりゃあ使いこなさんとすれば大変だ。
お姉様が展開するこいつには第一弾でも苦汁を舐めさせられたもん。
第二弾にて本人と同時に登場したフランちゃんの忠実なる狗ともなれば、最早手のつけようがない事は明白。
目の前にあるものを問答無用で破壊し、その対価を術者へ問う――等価交換と言うにはあまりにも横暴だが、この悪魔の僕はそれに見合う仕事をしてくれる筈だ。通常のウィニーのようなデッキに入れても、2マナでパワー2という能力を活かして十二分に暴れてくれるであろう。
更にプレイヤーへの直接火力で、文字通り相手を紅蓮地獄へと引きずり込んでしまって欲しい。

しかしこんな凶暴そうな狗も、フランちゃんへは絶対忠誠を誓っている。彼が一匹場にいるだけで、フランちゃんの戦闘能力は更に加速し、それこそ手の付けようが無くなるのだ。
ねぇ咲夜さん! 殺人ドール2枚貸してくだしあ!!1
これが紅魔館のしきたりか……DVだなさすが紅魔館でぃーぶい


つまり今回の話を纏めるとフランちゃんは可愛いという事だ。異論は認めない。
なぁに、彼女の周囲にはまだ紹介出来てない魅惑的なカードが数多くある。
攻撃的かつ反抗的で、しかし確実に術者の期待には応えてくれる、そんな姫君を活かす手立ては、プレイヤーの諸君の手腕一つで如何様にでもなるわけさ。


よし以上にて、無駄に間を空けたままだったフランちゃんの紹介を終えよう。
全く持って彼女への愛は肝胆から冷め遣らぬな……
絵も描きたかった(

次回予告:Windfall君が某新聞記sy「お、おまえは―――!?」

幻想回向プレビュー part 2

こんばんは。前回紹介頂きました鬼上司ことYifeです。うん、でも、そもそも上司ではないんですけどね。だいたいサークルで上司ってなにさ?それはともかく、早速プレビューを始めることにしましょう。

ゴー ルデンウィークももう終わりですが、みなさんはどんな風にこの連休を過ごしましたか?私はやることが多くてあまりのんびりできなかったのですが、ついつい やるべき事を後回しにしてしまうんですよね。怠けがちな小学生が8/31になってから夏休みの宿題を始めるようなもので、いざ後がなくなってからとりかか るという……。

今回紹介する「サボタージュの泰斗」こと小野塚小町も、プレイヤーが本当に追い詰められないと働いてくれません。あなたに少しでも余裕(手札)があると、昼寝を始めてしまいます(アンタップしません)。性能だけを見れば黒1マナで4/4トランプルと破格ですが、彼女をまともに戦わせるのはなかなか大変です。

さて、ではどうすれば彼女を働かせることができるでしょうか?
1つめの答えは、惜しみなく手札を捨て、強制的に小町を働かせることです。まさに"背水の陣"ですね。対戦相手の妨害に対応することはほとんどできなくなりますが、4/4トランプルという大きなサイズを活かして、対戦相手の体勢が整う前に殴りきってしまえばいいのです。

2つめは、映姫様に叱ってもらうことです。1度叱ってもらえば、そのターンは攻撃に参加することができます。一喝をうまく引いてくる必要はありますが、これならデメリット無しで1マナ4/4トランプルという性能を引き出すことができます。

3つめは、スペルカードを使うことです。死神である彼女のスペルカードには、ダメージや破壊という黒らしい強力な効果が豊富に揃っています。今回は、その中から1つだけお見せして、この紹介を終わることにしましょう。

宵越しの銭です。

この呪文は、宣言有りと宣言無しでは性能に大きな差があります。同じ"名前"のカードがめくれることはそう多くないでしょうが、同じ"色"となれば話は違います。宣言ありで単色のデッキ相手に撃てば、一気にデッキを半分以上削ることだって夢ではありません。本家MTGでも《石臼》などを使用したライブラリー破壊は根強い人気がありますが、萃符伝でも十分に第一線で活躍できますよ。


さて、そろそろこの紹介も終わりにしましょう。次回はニュー速さんが紅い魔法少女を紹介する予定です。それでは、よい休日と萃符伝ライフを。

幻想回向プレビュー part 1

幻想回向プレビューにようこそ! いよいよ例大祭で登場する幻想萃符伝新エキスパンションのヴェールが上がる時だ。そして、もちろんセット初のカードのプレビューも、まあ、最後までにはされるはずさ。でもまだお預け。今はしばらくの間、お膳立てが済むまで……。

……マーク・ローズウォーターの文体模写はこのぐらいにしましょう。ネタとして滑っている感が否めませんし。
改めましてこんばんわ。初めまして。幻想萃符伝スタッフ下っ端、WindFallです。今回は幻想萃符伝第2弾、幻想回向のプレビュー第1弾を執筆させていただくことになり、緊張しております。
何が緊張するって、下手なことを書いたら鬼の上司に容赦なく没にされてしまうあたりが……あ、Yさん。いえ、なんでもないです。きりきり書いてますよ、ええ。……ふう。
さて、与太話はこのあたりにして、いよいよ幻想回向の話に入っていきましょう。


幻想回向にはさまざまなタイプのカードが含まれています。幻想郷の事件を現した物、名も無き幻想郷の住民たち、幻想郷のある風景を切り取ったかのような物。しかし、その中でも最も重要で、数が多いのが……8人のキャラクターたちと、そのスペルカードです。8人のキャラクター……四季映姫・ヤマザナドゥ、小野塚小町、フランドール・スカーレット、射命丸文、伊吹萃香、パチュリー・ノーレッジ、そして蓮子とメリー……は、それぞれ違った特性を持ちます。もちろん能力も、スペルカード(約二名ほど、例外的に持っていませんが)も、キャラによってさまざまです。彼女らがどんな特性を持っているのか、大雑把なところはこちらをご覧いただくとしまして、今回は一人にスポットライトを当てて、その性質を詳細に見ていくこととしましょう。
栄えある紹介トップバッター、今回スポットライトを当てられるのは……彼女


そう、四季映姫・ヤマザナドゥです。


彼女のクリーチャーとしてのサイズは、まあ、たいした物ではありません。ですが、彼女の真価は戦闘能力ではありません。その本領は特殊能力にあります。
なんと、ダメージを与えたりライフを失わせる呪文を1ターンに一度自動で打ち消してしまうのです。自動ですよ。マナやタップは必要ありません。<<彼岸の竜巻>><<ホーミングアミュレット>>は勿論、<<檄飛ばし>><<メイドの魔法陣纏い>>すらも、打ち消してしまうのです。相手の展開テンポは明らかに狂うでしょう。あなたはその隙に、勝利に向かって邁進すればいいのです。
しかし、いい事ばかりではありません。彼女の打ち消し効果は彼女の味方であるあなたにも及びます。裁判官である彼女は全てを公平に裁くのです。いかにも彼女らしい特性と言えるでしょう。
もっとも、あなたが彼女の裁きを免れるのはそう難しいことではありません……彼女が裁くような行いを元からしないようにすればいいのですから。幸い、彼女の色である青には彼女の嫌う効果とは縁の無い優秀なカードがそろっています。彼女が容認する行いをするデッキを組むのは簡単でしょう。
全てを静かに裁く彼女、あなたは使いこなせるでしょうか?


さて、ここでちょっと先ほどのカード画像を見てみてください。それの上の方、カードタイプ欄です。なんて書いてありますか?
「クリーチャー - 裁判官」
裁判官。公式に表記されている裁判長や閻魔ではなく裁判官が種族です。これが何を意味するのか、皆さんお分かりでしょうか?
その正解は、次のカードが教えてくれます。


そう、裁判長というからには、その周囲を補佐する裁判官が存在するもの。それは幻想郷の裁判長といえど、例外ではありません。幻想回向では、そんな裁判官たちもカード化されているのです。たち? ええ、お察しの通り、彼女らはサイクルです……それぞれの色に一人ずつ存在します。
では、その中の一人、名も無き緑の彼女の能力を見てみましょう。


クリーチャーとしての能力は非常に――比べるのは酷とはいえ映姫以上に――貧弱です。これでは通常のクリーチャーはおろか、<<湖上の魔精>>にすら倒されてしまうでしょう。コストに見合った能力とはとても言えません。ですから……もうお分かりですね? 彼女の真価はその特殊能力にあるのです。
彼女の能力は、クリーチャーが出てくるたびにライフを得るというものです。マナの消費やタップは必要なく、立っているだけで自動的に得ることが出来ます。
それだけ? もちろんそんなことはありません。1ターンに2体以上のクリーチャーがでれば、さらにライフを得ることが出来るのです。本来の能力と合わせれば、中々の量のライフを得られることでしょう。ライフによるアドバンテージを得れば、そう簡単にあなたが負けることはなくなるはずです。
彼女を使いこなすにはどうしたらよいでしょう? まず単純に思いつくのが、軽量のビートダウンデッキに仕込んでみるという方法です。自分で複数クリーチャーが出せるなら、相手のデッキに左右されること無く、安定してライフを得ることが出来ます。もっとも、彼女のサイズはビートダウンデッキに投入するには不安が残りますが……。
もう一つは、クリーチャーを同時に大量に出すようなカードと組み合わせてみる方法です。宣言発動中の<<魔光「デヴィリーライトレイ」>>や、<<ひまわりを抱える統率者>>、そして<<結界「生と死の境界」>>……これらと組み合わせれば、一瞬で二桁のライフを得ることも夢ではありません。さらに、二人以上このカードが出ていれば……夢は広がります。 大らかに全てを包み込む彼女。彼女は、あなたとともに歩む日を心待ちにしています。

さて、紙面の残りも少なくなってきました。最後に一つだけ皆さんの疑問に答えて、本稿を終わりにしたいと思います。

Q:裁判官が沢山いるのは分かったけど、彼女らが一緒に何かをするようなことはないでしょうか? ただサイクルでいますというだけじゃ、なんだか片手落ちでは?
A:いい質問です。あるカードをみていただければ、その疑問は氷解すると思います。
……これです。

次回のプレビューでは、サボり癖のあるあの少女を、YさんことYifeさんが紹介する予定です。
それでは、またお会いしましょう。よい萃符伝ライフを。