宇佐見会

同人サークル「宇佐見会」はカードゲームの製作を中心に、グッズ製作や各種イベントの企画を行っている団体です。
ご不明な点がございましたら、こちらまでお気軽にメールくださいませ。
製作/企画:対戦カードゲーム「幻想萃符伝」 | ゲーム交流会「上方東方祭」
;

第三弾「随喜信仰」プレビュー part4

こんばんは、WindFallです。今回は前回のYifeさんの記事から連続での更新となります。
また、更新が遅くなってしまった事、更新者が予定より変更となったことをお詫び申し上げます。

さて、今回のプレビューの前に、例によって小話を。
萃符伝をやっている皆さんは「ゲーム外領域」という領域についてご存知でしょうか。これはマジックの用語の一つで、「ゲームから取り除く」と書かれたカードの効果によってカードが置かれる場所の事です。ゲームから取り除くというだけあって、そのカードは普通、二度とゲームに関係してきません……普通は。
マジックのルールというのは貪欲な物で、何事にも例外を作らずにはいられないもののようです。古くはこんなカードもありましたし、比較的近年に目を移すとこういうサイクルも存在します。ゲーム外領域はもはや、ただの「取り除かれたカード置き場」ではなく、利用される一つの独立した領域なのです。

(え。これらのカードはいわゆる「ゲームから取り除かれたカード」以外のカードも使用できるのが強い、ですって? 確かにそうですが、ここは話の流れとしてスルーしておいてください)

普通に回収するだけのカードの他にも、ゲーム外領域を利用するカードにはさまざまなものが存在します。萃符伝で例を挙げれば、「八雲紫」や「伝統の幻想ブン屋、射命丸文」などがそうですね。これらのカードはゲーム外領域を一時的なカード置き場として使用しています。
さて、このようにさまざまな利用方法が存在する「ゲーム外領域」 それをもっと活用した、面白いカードが作れないでしょうか?
開発陣は考えました。そして、幾枚かのカードをデザイン(そして調整)したのです。

前振りが長くなりました。いよいよプレビューカードの紹介です。今回も、前回私が担当した時と同じく、二枚ずつ紹介していきます。
さあ、どうぞ。

幻弾「幻想視差」(ブラフバラージ)脱兎「フラスターエスケープ」

(クリックすると大きくなります)

今回はキャラクターカードからではなく、スペルカードから紹介を始めさせていただきました。キャラクターカードのような派手さはないですが、いやらしい動きをするカードが揃っています。
さっそく紹介に移りましょう。

○幻弾「幻想視差」(ブラフバラージ)
1マナ3/3飛行という頭のおかしいスペックで見る者の度肝を抜きにかかるこのカード。落ち着いてください、開発陣は正気です。
もちろんそんなコストが普通に実現できるわけもなく、普通にプレイするとそのままゲーム外に出て行ってしまいます。当たり判定の無い弾がそこらじゅうを飛び回っているようなイメージを想像してください。このままでは、ただの無害なカードです。
そこで宣言能力。あなたが鈴仙をコントロールしていれば、このカードはゲーム外から戻ってくる事ができるのです。鈴仙の能力で弾が実体化したのですね。速攻もつくので、実体化して即座に攻撃する事ができます。
このカードをうまく使うには、鈴仙をどれだけ早く場に出す事が出来るかが鍵となります。何しろ、すでに鈴仙が場に出ている状態からならば実質1マナ3/3飛行速攻という悪夢のような性能を誇る事が出来るのですから。普通に鈴仙のカードを使うもよし、「名前騙らせ」でズル?をするもよし。お好きな方法で料理してください。

●脱兎「フラスターエスケープ」
2マナ3/2。赤としてはもちろん、他の色と比べても破格の性能のクリーチャーです。だから開発陣は正気ですってば。
こんなクリーチャーにデメリットがついていないわけが無く、奇妙な能力が付属しています。その能力とは、呪文や相手のブロックに反応してゲーム外に逃げてしまうこと。せっかくそのパワーを活かして攻撃しようとしても、1/1の鬼トークンにブロックされただけで逃げてしまいます……それも、戦闘ダメージを与える前に。うまく使ってやるには、なにか手を考える必要があるでしょう。
そんな彼女(?)ですが、てゐの宣言がつくとちょっと様子が変わってきます。相手にブロックされるたびに小さな火力を飛ばせるようになるのです。小さいといって馬鹿にしてはいけません。彼女(?)がブロックされての戦闘で破壊される事はないため、対処が難しい立派な攻撃手段となります。これを利用する事は、彼女(?)をうまく使うためのひとつの方法といえるでしょう。

いずれも制御の難しい個性派なカードたち。あなたはうまく御せるでしょうか?


さて、スペルカードを紹介してキャラクターを紹介しないというのでは片手落ちですね。早速キャラクターの紹介に入りましょう。今回紹介するのは前出の通り、永遠亭の月のイナバと地上のイナバこと、鈴仙・U・イナバと因幡てゐの二羽です。
この二羽もまた、スペルカードに負けず劣らずいやらしい動きをするのですが……前置きは短く。見れば分かります。

鈴仙・U・イナバ因幡てゐ

(クリックすると大きくなります)

新出のルールはないので、さくっと紹介してしまいましょう。

△鈴仙・U・イナバ
サイズ、マナコスト的には中堅レベルの鈴仙さん。決して弱くはないですが、正面から殴りあうにはやや能力的に不足です。それも当然、彼女の真価は戦闘ではなく能力で発揮されるのですから。
その能力は何度も使える「決めボム」。敵の妨害から味方の救出、再利用まで、幅広く活躍できます。
おや、もう紹介が終わってしまいました。シンプルイズベスト。

▼因幡てゐ
鈴仙とはうってかわって詐欺臭い能力満載のてゐ。3マナ2/2と聞くとサイズこそ普通ですが、この額面どおりに彼女がプレイされる事はまず無いでしょう。なぜなら、彼女は一定の条件下でマナコストなしでプレイできる……いわゆるピッチスペル的能力をその身に秘めているからです。
その条件は、島をコントロールし、手札が他の対戦相手より(複数いる場合はそのすべてより)多いこと。ドローを得意とする青ならば簡単に達成できてしまいそうな条件です。また、瞬速も所持しているため、相手の手札が減った隙を突いて登場することも可能。相手の知恵(手札)が消耗している(少ない)のを見逃さずこっそり出現する姿は、まさに詐欺兎の面目躍如といっていいでしょう。
そして、能力はそれだけではありません。彼女を生け贄に捧げる事で呪文を打ち消す事ができるのです。といっても、相手が1マナ支払えば打消しはキャンセルされてしまいますが。しかし、この能力を持つ彼女が存在しているというだけで相手のテンポはがくんと落ちてしまうでしょう。常に1マナ余裕を持って行動するというのは、実は思っているよりも難しいことなのです。
さて、彼女の真価はその能力を個々に使っていてはわかりません。能力を組み合わせて使う事でその強さは何倍にもなります。……そう。彼女は、実質ピッチスペルのカウンター呪文として機能するのです! タイミングを選ぶとはいえ、その能力の有用さはまさに「詐欺」と言うに相応しいでしょう。

なんだか二人の扱いに差がありますが……さて、あなたは月と地上、どちらのイナバを供にしますか?


さて。もう一度、ゲーム外領域に話を戻しましょう。萃符伝をプレイする時、あなたはこのゲーム外領域が何なのか、考えた事はありますか?
何ってゲームの外じゃないか、とお答えになった方。まあそう言わず、ちょっと想像力を働かせてみてください。
答えは、そう、第2弾のプレビューにも書いてありましたね。博麗大結界の外です。もちろんそれが唯一の正解ではありませんが、すくなくとも萃符伝において正解の一つではあります。
結界の外にこぼれ出た物を拾い集めるのが、第2弾の「マエリベリー・ハーン」の能力でした。今回のプレビューカードを見ても分かるとおり、結界からは今も多くの物が零れ落ちているようです。
それらのうち幾らかは、また結界の中に戻っていきます。しかし、中には、二度と結界の中に帰れないモノもいるのです。
今回のプレビューのラストは、そんな帰れないモノの一つをあらわしたカードを紹介しましょう。

幻想になれなかった空想

(クリックすると大きくなります)

説明が必要ですね。色々と。

まず、あらわしているモノについて。フレーバーテキストを見てピンと来た人もいるかもしれません。このカードは「冴月麟」をあらわしたカードなのです。
冴月麟? と思う人が多いことでしょう。冴月麟とは、東方紅魔郷においてデータ内に名前だけが残されている、謎のキャラクターです。名前のある場所から考えると、霊夢、魔理沙と並ぶ第三のプレイヤーキャラクターになる予定だったものと推定されます。風符と花符を使うらしい(名前の横に付記してあるのです)という事以外は全て不明の、いわば幻のキャラクターなのです。
今回のカードではそれを踏まえて、「幻想になれなかった空想」という名前でカード化しました。幻想郷の中に入る事ができず、ただ空想の中にいる少女。彼女はなにもしません。ただ、自分がそうであったように、一度幻想の外に出たものを二度と幻想に戻さないようにするだけです。

もう一つ。あらわしているモノがどうというよりこっちの方が気になった人が多いかもしれません。そう、このカードは「無色のエンチャント」なのです。まさに掟破りですね。といっても、ルールには「無色のエンチャントは存在しない」というような事は書いてないですから、このカードも何ら問題は無いわけですが……奇しくも、幻想と空想の間の差を強調するこのカードが、本家マジックと萃符伝との間の差をも強調する結果となったようです。とはいっても、今後まったく無色のエンチャントが現れないとは言い切れないあたりが本家マジックの恐ろしさ、なんですけどね。

そして最後に、デザイン。これまで紹介されたカードとは一味違う、ちょっと面白いカード枠になっていると思いませんか? これは今回導入された特殊な枠で、幾枚かのカードに採用されています。どのカードがこの特殊な枠なのか、楽しみにしていてくださいね。

さて、説明は終わり。カードの紹介に入りましょう

◎幻想になれなかった空想
書いてある事はシンプル。ドローと、ゲーム外からのカードの移動の禁止です。
ドローはもちろんおまけですが、2マナの軽量カードで1ドローがついてくるので、デッキ圧縮の役にはたつかもしれません。
そして、ゲーム外からのカードの移動の禁止。さらりと書いてありますが、これによって影響を受けるカードはかなり多いのです。
たとえば前出の「幻弾「幻想視差」(ブラフバラージ)」や「脱兎「フラスターエスケープ」」はその存在意義がほぼ失われますし、その他にも多くのカードが機能不全を起こしてしまいます。
デッキの開いたスロットに何枚か入れておくと、結構いい働きをしてくれるかもしれませんよ。

さて、今回のプレビューはこれで終了です。皆さん、お楽しみいただけたでしょうか?
では、次回の私のプレビューでお会いいたしましょう。
それでは、また。